タクシー不足の解消を目的に東京・神奈川・愛知、そして京都の一部地域で2024年4月からスタートする日本版「ライドシェア」。ドライバーの管理などはタクシー会社に任され、車両が不足する地域と時間帯に限っての運行という一定の条件下でのスタートとなる。タクシー不足が深刻な福岡市だが、今回は見送られたかたちだ。
ライドシェアでドライバー不足解消か
福岡市の高島宗一郎市長はタクシーのドライバー不足について「全国の課題」と認識しつつも安全性の確保や規制緩和といった、さらに踏み込んだ議論が必要だとしている。
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福岡市・高島宗一郎市長(2024年2月7日記者会見):
ますます進むドライバー不足ということについては、新しい法律を作る中で、いま考えられている有事の対応、それから既存タクシーとの共存、運用など、さまざまな部分についてしっかりと議論していただきたい
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平日の午後4時過ぎのJR博多駅。駅前では、観光客やビジネスマンなどタクシーの利用客が後を絶たない。一方で、タクシーの運転手の数は新型コロナウイルスの影響や高齢化による離職が相次ぎ、コロナ禍前と比べると全国で2割以上減少。いまも回復の兆しはなく、人手不足は深刻さを増している。こうした中、利用客の「足」を確保しようと動き出すのが、一般のドライバーが有料で人を運ぶライドシェアだ。
![ライドシェアについてのインタビュー](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/a/1/700mw/img_a14e008ec793423ced62a20be021aa5a256055.jpg)
福岡の街で聞くと「いまのタクシー労働者の人たちが、あおりを食ってしまうような状況になるのはどうかな。ただでさえ台数も少ないし。海外では事件に巻き込まれたりする人もいるみたいだから、慎重にやらなきゃいけない」という意見や「絶対あった方がいい。海外旅行によく行くが、問題ない。料金も安いし、最短で走ってくれる」という意見などさまざまだ。
タイの“ライドシェア”使ってみた
海外では、当たり前だとされているライドシェアとは一体どんなものなのか。取材班はライドシェア先進国のタイに飛んだ。
テレビ西日本・楢崎春奈記者:
バンコクのスワンナプーム国際空港です。これからバンコク市内に向けてライドシェアを使って移動してみたいと思います
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タイで一般的に使われているのは「Grab(グラブ)」という配車アプリ。日本語にも対応していて、乗車する場所と目的地を入力すると1分足らずで配車され、向かっている車の車種やナンバーが送られてきた。待っている間にもアプリで配車した車に乗り込む外国人観光客の姿が見られる。
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約10分で配車された車と合流。目的地は既に入力されているためドライバーと会話する必要もない。ドライバーは22~70歳のタイ国籍を持つ人のみ。登録する車両は、製造から10年を過ぎていないことなどが決められている。ナビ通りに目的地に到着し、料金も距離で計算された金額が自動でクレジットカードから引き落とされる仕組みだ。
タイ駐在の日本人「トラブルない」
現地に駐在している日本人もライドシェアは生活に欠かせないものになっていると話す。
バンコク駐在9カ月・山田南さん:
週3~4回以上は使ってます。歩くには15分以上かかって「めんどくさいな」ってときにちょっと呼んで使ってます
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バンコクの街中にはアプリの配車ポイントが設置されるなど、まさに市民の足となっているライドシェア。副業ドライバーも多いが、GPSで管理されているため犯罪の抑止にもつながっているほか、全てアプリで完結するので現地のタクシーより安心して利用できる。働き方によっては本業以上に稼ぐこともでき、ドライバーの登録者は増え続けているという。
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バンコク駐在9カ月・山田さん:
最初から料金が分かる。そのほか私もそんなに言葉が得意じゃないので、流しのタクシーを捕まえてトラブルになったことがあって、思ってるところに連れて行ってくれなかったとか、言っていた料金と違ったとか、逆にライドシェアだとトラブルがない
福岡ではライドシェア見送り
一方、日本で始まるライドシェアは東京や神奈川など一部地域で先行し、配車アプリのデータを元にタクシーが不足する曜日や時間帯に台数を限定したかたちで運行される。
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ドライバーなどの管理はタクシー会社に任され、運賃についてもタクシーと同程度が想定されている。
福岡での先行導入は見送られていて、運行管理を担うことになる地元のタクシー会社は、ライドシェアについて非常に慎重な姿勢だ。
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県内のタクシー会社(取材メモより):
具体的なところが見えないから何もできない。東京での導入を静観している状況だ
業界団体関係者(取材メモより):
タクシーの運転手を守りながら、どれだけドライバーを確保できるのか予想できない
果たして日本にあったライドシェアはどういったものなのか。注目の取り組みが始まる。
(テレビ西日本)