北朝鮮が今月19日に「18日の射撃訓練」として映像を公開した。

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映像から、6両の発射機から1発ずつミサイルが発射されているのがわかる。

しかし、日本政府の18日の発表は北朝鮮がミサイルを「午前7時44分頃に相次いで2発」、「午前8時21分頃に1発」発射したとし、いずれも日本のEEZ=排他的経済水域の外に着水したというものだった。

北朝鮮が公開した映像がこの時のものだとすれば、なぜ数の違いが生まれたのか。

能勢伸之フジテレビ上席解説委員:
考えられるのは、最高高度50キロと把握しにくいミサイルの発射だったことに加え、断定はできないものの、発射機の間隔を詰めてほぼ同じ方角に飛ばし、結果として日米のセンサーにはミサイルの数が少なく映ってしまった可能性です。

そして発射には、およそ40分の時間差があったことについては「発射のタイミングが2回あったのは間違いないだろう」と指摘。

能勢伸之フジテレビ上席解説委員:
発射が2回とも6発だったかは分かりませんが、発射されたものの半分も捕捉できないなら、迎撃できないミサイルが出てくる可能性は否定できません。

能勢伸之フジテレビ上席解説委員:
今回の超大型放射砲は日本に届きませんが、発射したミサイルの数を少なくみせる方法を北朝鮮が本当に編み出していて、他のミサイルにも応用するなら、日本にとっても脅威です。

さらに「新たな懸念」も。

北朝鮮メディアは、20日、中長距離極超音速ミサイルに使う新型固体燃料ロケットの地上燃焼実験に前日に成功したと伝えた。

北朝鮮はこれまでに極超音速滑空体ミサイルの試験発射を行ったり、2023年の軍事パレードでは別の極超音速滑空体ミサイル「火星12B」を披露している。

能勢伸之フジテレビ上席解説委員:
極超音速ミサイルは、ただでも剛速球かつ変化球で低く飛ぶため、もともと迎撃が難しいとされています。

能勢伸之フジテレビ上席解説委員:
そこに新型固体燃料ロケットを使うと、速度が上がり飛距離を伸ばし、日本全域、さらに、アメリカの軍事拠点グアムも射程に入る厄介な事態となりかねません。
実行されれば、北朝鮮の脅威はさらに高まるといえそうです。

能勢伸之
能勢伸之

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フジテレビ報道局上席解説委員。1958年京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。報道局勤務、防衛問題担当が長く、1999年のコソボ紛争をベオグラードとNATO本部の双方で取材。著書は「ミサイル防衛」(新潮新書)、「東アジアの軍事情勢はこれからどうなるのか」(PHP新書)、「検証 日本着弾」(共著)など。