長野県は、クマが大量出没時には新たに「警報」を発令し、捕獲・駆除を優先する方針を決めた。「警報」の基準はエサが少ない状況で人里での目撃件数が平年の2倍となるか、人身被害が出た場合を想定している。
大量出没時「警報」発令へ
今年度、全国で相次いだクマの被害。
長野県内でも人身被害が11件12人にのぼった。
2023年10月には飯山市でわなにかかったクマに襲われ、男性が死亡する事故も起きている。
この記事の画像(5枚)こうした状況を受け対策を検討してきた県と専門家。3月21日、対策案をまとめた。
人の生活圏とクマの生息エリアを分ける取り組みの強化をこれまで以上に進める他、大量出没した際は県が新たに「警報」を発令する方針だ。
捕獲・駆除を優先へ
警報発令時は捕獲したクマをお仕置きして山に返す「学習放獣」をいったんやめ、捕獲・駆除を優先させる。
また、これまで放獣していたイノシシやシカのわなにかかる、いわゆる「錯誤捕獲」されたクマも駆除の対象とする。
警報の基準は山のドングリなどのエサが「凶作」と予測された状況で、人里での目撃件数が月単位で平年の2倍以上となるか、人里で人身被害が発生した場合を想定している。
駆除の基準について課題
ツキノワグマ対策あり方検討委員会の百瀬剛委員(環境省信越環境事務所)は、「『錯誤捕獲』されたクマはどういった場合に駆除するのか、誰が許可するのか、この辺を今後、整理してほしい」と指摘した。
県は今後「警報」や駆除の基準について、さらに専門家と議論しクマの出没が増える今年の秋までに正式に決め運用する方針だ。
長野放送