2024年春、転出超過ワースト1位に揺れる広島で大学生が卒業し、社会人への門出の日を迎えた。「やりたい仕事がない」と若者に逃げられる一方、県内に就職する卒業生たちは「転出超過」をどう感じているのか。
激動のコロナ禍を経験した卒業生
卒業生：
本当に濃い4年間になりました
卒業生：
最初はコロナ禍で思い描いていた大学生活と違ったが、コロナ禍が明けてから少しずつ活動していくうちに大学生という実感が出てきたかなと
3月19日に広島市中区で行われた広島経済大学の卒業式。参列した多くの学生たちが入学した2020年は新型コロナで緊急事態宣言が出されるなど厳戒態勢の真っただ中にあり、唯一「入学式」が開催できなかった代だ。そのため、一同が集まる大きな式典はこれが最初で最後。大学院と合わせて709人が卒業した。
卒業生が感じる「転出超過」
一方、県内で大きな課題になっているのが「転出超過」。1月に総務省が発表した最新の人口動態調査結果で、広島県は転出が転入を上回る「転出超過」が3年連続で全国最多に…。若い女性を中心に人口が流出している。卒業を迎えた学生たちは「転出超過」をどう感じているのか。
（Q：転出超過って聞いたことある？）
広島出身・県内のIT企業に就職：
聞いたことあります。広島が1位ですよね。高校の友達もみんな県外の大学に行ったり就職でも県外に行ったり、どんどんまわりに人がいなくなるのはやっぱり寂しい
（Ｑ：どうしたら広島に魅力を感じて戻ってくる？）
広島出身・県内のIT企業に就職：
若い自分たちが広島でいいところを見せてアピールしていくのがいいなと思います
広島出身・東京のスポーツ用品メーカーに就職：
オリンピックで仕事をするのが夢です。やりたいことを重視した結果、東京に就職することになりましたが、いずれは広島に帰ってきたい
（Ｑ：戻ってきたいと思うのはなぜ？）
広島出身・東京のスポーツ用品メーカーに就職：
広島に実家がありますし、都会過ぎず田舎過ぎずちょうどいいところかなと
県内に就職する新社会人たちの決意
夢を追いかけ関東など県外を目指す学生も少なくない中で、県内に就職する学生は新社会人として決意を口にした。
県内に就職（鉄道関連）：
県内に残る同級生と広島を変えていこうという気持ちで頑張っていけば、少しは変わるんじゃないかと思います
県内に就職（販売業）：
みんなが戻ってきたいと思うくらい都会みたいに活性化していきたい
「広島を盛り上げていきたい」
転出超過を抑えるための一つの手段に“移住者を増やす”ことがある。しかし、東京で地方への移住を支援するNPO法人「ふるさと回帰支援センター」の調査では、セミナー参加者の移住希望地ランキングで2021年、2022年は広島県が「1位」だったが、2023年は他県の魅力が増したのか「7位」に転落…。とはいえ、ランキング上位をキープしている。
県外出身で広島に就職する学生からも頼もしい声が聞かれた。
山口出身・県内に就職（ロードサービス関連）：
全国の中でも広島が一番と言われるように盛り上げていきたい
愛媛出身・県内に就職（自動車関連）：
県外のほうが自分を成長させるチャンスが多いかなと思って、愛媛に戻らずに広島で就職しようと思いました。何事にも負けずに頑張っていけるような社会人になれたらいいなと思います
岡山出身・県内に就職（カギ関連）：
これからは大学のOBとして会社説明会のときには自分が大学でアピールし、広島で働きたいと思ってもらえるように伝えたい
刺激を求めて県外へ流出する学生と同じように、広島に残る学生も野心を持っている。むしろ“転出超過ワースト”という意識が若者に火をつけ、街の活性化につながることを期待したい。
（テレビ新広島）
