山形・米沢市に空き家をリノベーションした学生向けのシェアハウスが完成した。改修作業を行ったのは地元の大学生たちで、学生が街に溶け込む拠点を作りたいという思いが原動力となっている。

大学生グループが“空き家対策”

米沢市大町にある築60年以上が経過した木造の民家。空き家となっていた家が、学生用のシェアハウスへと生まれ変わった。リノベーションを手がけたのは山形大学工学部(建築・デザイン学科)の4年生グループ「建築ズ」だ。

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建築ズ・板橋冬馬さん:
空き家が多いと、夜に街灯がなくて暗い印象・人が出歩いていないような印象を受けやすい。街に活気がないととらえられてしまう。そこに問題を感じていた

少子高齢化の影響で全国的に問題となっている「空き家」対策。米沢市によると現在、市内では1614軒の空き家が確認されていて、対策は重要課題の一つとなっている。この現状に目をつけたのが「建築ズ」のメンバーで、キャンパスから徒歩10分ほどの場所にある空き家を、学生専用のシェアハウスに改修することを決めた。

居住者の自由な発想で活用できる空間

学生たちは2023年夏にクラウドファンディングを実施。集まった約85万円を資金に、空き家の所有者や市内の建設会社の協力のもと、2023年12月から改修を始めた。

学生たちが改修したシェアハウスの1階
学生たちが改修したシェアハウスの1階

シェアハウスの1階には風呂やトイレ・台所のほか、学生が作業したり、くつろいだりできる共有スペースを確保した。学生同士はもちろん、地域の人たちが気軽に交流できるような「開かれた場所」になることを目指している。

2階は居住エリアに
2階は居住エリアに

2階部分は居住エリアとしてリノベーションした。4つの個室と共有スペースがある。壁や柱を少なくして広い空間を確保した共有スペースは、入居する学生が自由な発想で活用できるよう設備は最低限にとどめた。

建築ズ・千葉柊汰さん:
住む人によって、その組み合わせによって、街との関わり方やシェアハウス自体も変わっていくと思う。「空間」としては自分たちがいったん完成という形で用意した。居住者が自由に作り変えてもらえれば

街に活気を与えるシェアハウス目指す

4年生の彼らにとっては卒業論文の作成と重なる時期で、忙しい日々が続いたが、建築の現場を体験したことはこれからの財産となった。

建築ズ・板橋冬馬さん:
塗装とか質感などは普段なかなか見られない。実際に塗ってみて、普段のデザインの中で質感まで考えなければいけない。一つ発展したところまで考えるいい体験になった

4月には建築・デザイン学科に通う女子学生2人の入居が決まっていて、大学院に進学し、米沢に残る「建築ズ」のメンバー3人は入居者をサポートすることにしている。

建築ズ・板橋冬馬さん:
居住者が変わるごとに家も変化していく様子が街に伝わると、街に活気を与える建物になる。そんなシェアハウスを目指したい

学生たちが残した「完成のないシェアハウス」。空き家対策の一つとして米沢の街に変化をもたらすか今後に注目したい。

(さくらんぼテレビ)

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