福井県南越前町に、一年中フルーツ狩りとスイーツ作りができる体験型の観光農園がオープンした。県園芸研究センターで主任研究員を務めていた男性がスマート農業を駆使して臨むのは、地域全体を“農業のテーマパーク”にするという一大構想だ。

北陸で最多 11種類のイチゴを楽しめる

2024年1月、道の駅「南えちぜん山海里」に隣接する場所にオープンした「フルーツガーデンひのの実」では、北陸で最多の11種類のイチゴ狩りが楽しめる。

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通常のイチゴ狩りとは違うのが、1200円でカップに入る分を収穫するというシステム(予約制)。小さめのイチゴから入れるようにするとたくさん入るそうで、多い人は20個以上収穫できるそうだ。

小さめのイチゴから入れるのがコツだそう
小さめのイチゴから入れるのがコツだそう

さらに、生クリームやクレープ生地、大福生地などなど好きなトッピングをすることができ、自分で収穫したイチゴでスイーツ作りも楽しめ、収穫だけで終わらないところが売りだ。

大福生地とあんこで作ったイチゴ大福を作る人もいるという。原渕由布奈アナウンサーは、生クリームとクレープ生地でイチゴクレープを作ってみた。

原渕由布奈アナウンサー:
イチゴがすごくジューシーです。甘酸っぱくていいアクセントになっています!

スマート農業の知識と経験を生かした取り組み

この観光農園は「JA越前たけふ」が事業主体となり、地元出身の農家で作る組合が運営している。

管理運営を担当している組合長の川崎武彦(崎は「たつさき」)さんは、県園芸研究センターで主任研究員を務めていた人物。

ITを活用するスマート農業を研究していたが、実践の場を地元・南越前町に作り、それをもとに地域貢献したいと、退職して農業ビジネスに参入した。専門だったスマート農業を活用することで、人手を減らしながらも、質を上げる生産に挑戦している。

ここでは、イチゴのポット栽培としては国内初だという「養液栽培システム」を採用した。

ハウス内に設置したカメラでは様々な角度から撮影し、生育状況を把握。葉の大きさや数などをデータ化することで、生育状況に合わせた肥料を使うことができるという。ハウス内の温度管理もスマホで行っている。

フルーツガーデンひのの実・川崎武彦 組合長:
時間帯によって温度設定をしている。朝方はゆっくり温度を上げて結露しないようにし、日が昇るまでに光合成に適した温度になるよう、細かく設定している 

結露が発生するとイチゴは病気になりやすくなるため、細かい温度設定が必要で、研究員としてのスマート農業の知識と経験が生かされている。

「ひのの実」を農業体験の拠点に

期間限定営業のイチゴ農園が多い中、「ひのの実」ではブルーベリーやブドウも育て、1年を通して客を迎えられるようにしている。

オープンして2カ月ほどだが、川崎さんは早くも今後の展開を考えている。

フルーツガーデンひのの実・川崎武彦 組合長:
ここを農業のテーマパークにしたいと思っている。南越前町全体で、サツマイモ掘り体験や枝豆の収穫体験ができる場所も作り、「ひのの実」は農業体験の拠点にしていきたい

北陸新幹線開業で県外客の増加に期待が高まる中、年中いつでも楽しめる体験型観光が福井県南越前町で進められている。

(福井テレビ)

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