■能登半島地震から2カ月 奈良の近鉄百貨店で『輪島塗』販売
能登半島地震から2カ月。「輪島塗」の職人たちが倒壊した家屋などから被害を免れたわずかな商品を集めて、関西で販売している。
元日の地震から、3月1日で2カ月。輪島市の朝市通りでは発生時刻の午後4時10分にあわせて手を合わせる人の姿も。そんな中、「伝統」を絶やさぬよう、職人たちが動き始めている。

奈良の近鉄百貨店では輪島塗の職人が赴き、自らの手で販売していた。沈金職人の古込知孝(ふるこみ・かずたか)さん。金箔などで模様を描いている。
古込さんの工房を兼ねた自宅は、地震で壊滅的なダメージを受けた。漆も、仕事道具の刷毛(はけ)も失った。
輪島塗沈金職人・古込知孝さん:
僕自身も1月4日に廃業しようと思っていた。ただ、その日の夜に「自分に何ができるだろう」

お客さん:
これはおいくらなんですか?
輪島塗沈金職人・古込知孝さん:
30万円です
お客さん:
30万!いいものって高くてすてき!わ~やっぱりこれやね。だって見たことないもん
輪島塗沈金職人・古込知孝さん:
うちしか作ってないので
■奇跡的に残った作品を販売 課題は職人の高齢化と再開時期

出品された輪島塗の多くは地震で倒壊した工房や自宅などで奇跡的に被害を免れ、職人たちが何とか救い出した作品の数々。
輪島塗は専門化された職人たちの分業制で行われ、一つの漆器を作るのに124もの工程を経て完成させる伝統工芸品で室町時代から続いている。

輪島塗沈金職人・古込知孝さん:
今がこうしているのは、先人が紡いできたものを受け継いでいる。輪島塗という存在がなくなってしまうのではと危惧している
木を削り、乾燥させて、1つの器を完成させるのに1年ほどかかる輪島塗。

職人の高齢化が進む中で、避難した職人たちが仕事を再開できるかが課題となっている。
輪島塗沈金職人・古込知孝さん:
こういったところで展示することがすごく励みになっていて、購入いただいた方の顔が見えていることに幸せを感じている
販売会『輪島塗をつなぐ』は、3月3日(日)まで近鉄百貨店・奈良店で開催する。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年3月1日放