長野県の人口が50年ぶりに200万人を割り込んだ。県は若い女性の首都圏流出により、婚姻数・出生数が減少していることが一つの要因としている。阿部知事は「若い世代や女性をしっかり応援していきたい」と述べ、対策を急ぐ考えだ。
約50年ぶり…人口200万人割れ
県によると、2月1日時点の県の人口は1月から1800人余り減少し199万9182人だった。
200万人を割り込むのは1973年以来、約50年ぶり。
人口の推移をみると、いわゆる第2次ベビーブームで1974年に初めて200万人を超え、2001年にピークの222万人となる。
しかし、その後は減少が続いている。このままでは2050年には158万人まで減少すると推計されている。

「東京に憧れるでしょ…」
止まらない人口減少に県民はー。
長野市在住の女子大学生は「学生の身だと、遊んだり楽しんだりする場所も全然なくて、仕方がないのかな」、80代の男性は「大学出て、東京に憧れちゃうでしょ、そのまま向こうで住むから、ますます人口少なくなるよね、弱ったもんだ」、また、50代の女性は「若者が住みやすい、子育てしやすい県、そういうことを考えていけば変わっていくのかな」と話す。
長野は移住先として人気の県。過去2年、連続で転入が転出を上回った。特に2022年はリモートワークの普及などもあり、3000人余り上回っている。

若い女性が首都圏に流出
しかし、それ以上に「出生数」が少なく全体としては人口が減っている。
長野県の阿部守一知事は12月の会見で、「東京圏へ地方から女性が流出し続けているというふうに言われている」と述べ、若い女性の県外の流出が人口減少の背景の一つとの見解を示した。
県の調査では2022年の転出超過は18歳から29歳で見ると男性1852人に対し女性は2152人。

県はこうした傾向が続くことで男女比の不均衡につながり、婚姻数、そして出生数が減少していると考えている。
若い世代にインタビューしてもー。
就職して4月から千葉県に行く大学4年生は「県外の雰囲気も感じたいなと思っていた。定年とか老後とかは人が多いところが苦手なので自然豊かなここですごしたいなとは思う」と話す。
阿部知事は「人口減少に光をあてて、多くの県民と共に若い世代や女性をしっかり応援していきたい」と、対策を講じていきたい考えだ。

若い女性に選ばれる県に…
県の来年度予算案の柱は「子育て支援や若者の定着」。
3歳未満児保育料の第3子以降の完全無償化、医療費助成の中学3年までの拡大、私立高校の授業料軽減などに総額17億円を計上した。子どもを産み育てる際の経済的負担を軽減する施策だ。
対策をしなければ人口減少は止められない。長野県は若い世代、女性に選ばれる県となるだろうか?
阿部知事は、「人口減少は、社会全体の活力が低下してしまう要因にもなります。より踏み込んで取り組む年にしていきたい」と対策を急ぐとしている。

(長野放送)