セクハラを含む「99」の不適切な行為があったと認定された岐阜県岐南町の町長。会見では何が語られたのか。
岐阜・岐南町 小島英雄町長：深くおわび申し上げます。
岐阜・岐南町 小島英雄町長：『セクハラありき』でやっている調査報告ではないかと私自身は思っています。
セクハラを含む「99」の不快な言動などが第三者委員会によって認定されたことを受け、謝罪した、岐南町の小島英雄町長（74）。怒りあり、涙ありの会見となった。
■第三者委員会の調査で「不必要な身体接触・不快な言動が99あった」と認定
小島町長のセクハラ疑惑が浮上したのは去年5月。週刊誌の報道が発端だ。
岐南町 小島英雄町長（2023年9月）：自分のしたことは、僕は間違ってないと思ってますよ。頭触ったことがセクハラと言われりゃ、これはもう仕方がないことです。
小島町長は「第三者委員会の結論を待って進退を判断する」としていたが、2月27日に調査結果が提出された。
第三者調査委員会はセクハラを含む「不必要な身体接触・不快な言動」が「99」あったと認定している。その事例を見てみると…
報告書：
・会うたびに頭をポンポンと触られた
・『手相をみたる』と言って手を触られた
・『色白だろう』と言って、ズボンをめくりあげて見せつけてきた
・『体にできものができたからみてくれ』と言って、シャツをはだけて胸を見せられた
他にも、「胸やお尻を触られた」といった不同意わいせつ罪に該当する可能性がある行為も確認されたとして、第三者委員会は「即時の辞職以外の選択肢はない」と厳しく指摘している。
第三者調査委員会 浅井直美弁護士：通常、職員であれば免職が懲戒処分に含まれる。それは職を失うということ。そこまでの話も組み込んで、処分を考えていくことが相当だろう。
28日朝、第三者委員会の調査結果を受けて小島町長は…
岐阜・岐南町 小島英雄町長：（Ｑ進退はどうされる？）進退はもう任期まではやらない。
（Ｑそれはいつごろ）ちょっと、撮るのやめてくれんかな、こんな時に。
取材に対し「任期までにはやめる」と話し、28日午後、改めて会見を開いた。
■「兄から怒られました」と涙を流す場面も
会見で、今後の進退について小島町長は、5月末までに辞任する意向を示した。
岐阜・岐南町 小島英雄町長：一応、自分の中では今すぐでも辞めたいですが、これだと、この報道に対して認めたことになりますので、もう少し期間をもって、5月末までには辞めたいと思ってます。それ以上、早くなる場合もあります。
記者からパワハラやセクハラの事実について聞かれると…
岐阜・岐南町 小島英雄町長：（Ｑどう喝もあることが出てますが、パワハラではない？）確かに言いましたが、何度注意しても分かってもらえない。
（Ｑパワハラの自覚はない？）今からパワハラと言われたら、パワハラですが、（注意が）1回2回ではない。3回以上した子に対して言っていた。
岐阜・岐南町 小島英雄町長：（Ｑ抱きついたりは？）ないです。それが公なったら、今ここにいない。完全に辞職ものですし、それはないと思います。
（Ｑあらてめて調査報告書のセクハラは認める？）認めるとか認めないでなく、もう報告書に書いてる。私自身に対しても質問してほしかった。聞いてないこともいっぱいあって、これが報告書ですと言われたら、ちょっとまだまだと思うところもあります。
不満を口にする市長だが、今回の調査報告書は全部読んでいないようで…
岐阜・岐南町 小島英雄町長：（Ｑ読むのが普通ではないかと思うのですが、町民に対する裏切りでは？）何が町民への裏切りなんですか？そんな言葉おかしくないですか？誠心誠意やってる私に対して失礼だ。
声を荒げる場面があった一方、家族などとのやり取りを聞かれて涙を流す場面もあった。
岐阜・岐南町 小島英雄町長：（Ｑ家族や親族など周りから何か言葉は？）何回もあります。自分の兄から電話がかかってきて、東京にいますが、怒られました。
■驚きの「99の不適切行為」
岐阜県岐南町の小島町長は、第三者委員会の調査などによると、セクハラなど99の不適切行為が認められたという。小島町長としては「セクハラありきでやっている調査報告書だ」と反発している。
「99」という驚きの報告。99の不適切行為を書き出すと、スタジオの天井近くまで3メートルを超える高さになった。この中には「頭ポンポン」や「手を触られる」といったことは何度も出てくる。
いくつか紹介すると、
35番 ポニーテールの髪の毛を揺らされた
53番 産休報告の際に、おなかをさすられて、おなかに耳を当てられた
68番 後ろから腕を回して抱きつかれた
94番 シャツワンピースを着ていたところ「その下に何か履いとるんか。見せてみろ」と言われた
■職員へのアンケートでは男女とも80％以上が町長の「パワハラ」を認知
第三者調査委員会は岐南町の職員161人にアンケート行った。自分以外の職員がセクハラ・パワハラに当たるような行為を受けていると感じたことはあるかという質問に、男性の85パーセント、女性の80.4パーセントが「ある」と答えている。
これを受けて第三者調査委員会は、「即時の辞職以外の選択肢はない」という意見をまとめている。しかし町長は会見で反論ともとれる意見を述べていて、頭をなでる行為については、「私らの世代は頑張った子の頭をなでたくなる」という。辞任について、「予算審議の議会があるので、5月の終わりまでに早めたい」と話している。
さらに記者が「セクハラなどを認めないならやめる必要はないのでは」と質問すると、「自分は正しいことをしたと思うが、報道が出た以上、良心のかしゃくがある」と述べた。
■町の業務遂行ができず破綻してしまう恐れも
「newsランナー」コメンテーターでジャーナリストの鈴木哲夫さんは、「『報道が出たこと』を辞任の理由にしているように聞こえる」と話す。
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん：『私らの世代は頑張ったら頭をなでたくなる』とか、この前は閣僚が『昭和20年代生まれはハグしない』と言ってましたけど、そんな理屈が出てくること自体にがっかりしちゃいます。この町長について言うと、問題が出てからの向き合い方に、真摯なところが見えないですよね。辞める時期にしても、報告書を全部読んでないことにしても、その辺をどうけじめをつけるべきか、もう一回、自分自身に問いかけてほしいと思います。
セクハラ行為が問題になっているが、パワハラの問題もある。
関西テレビ 加藤報道デスク：パワハラについて、多数の職員に対して、事象はないのに、『くび』『降格』などといった言葉を使って恫喝することが日常的にあったとのこと。また第三者委員会について、事務局員の交代を指示するような調査妨害なども行っていたと言われています。 職員の半数以上の人が実際にパワハラを受けたと言っています。もし職員が業務を遂行できなくなる状態になっていたら、町が破綻してしまうので、本当に手立てを打たないといけないと思います。
不適切行為だと認定されている以上、しっかりとけじめをつけなければいけないだろう。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年2月28日放送)
