島根・松江市出身の田部隼人さん。高校卒業後、プロの世界に飛び込んだものの、2022年のシーズン終了後、「戦力外通告」を受けた。“戦力外”になっても復活をあきらめない選手がいる一方、田部さんは「続けない」ことを決断した。
引退から1年あまり、故郷で第2の人生を歩む元プロ選手の今を取材した。
思うような成績を残せず「戦力外通告」
2024年度、育成選手も含めると約1000人が選手として所属する日本のプロ野球。ドラフトでは、毎年120人前後の新人が指名を受けるが、その一方で「戦力外通告」を受け、グラウンドを去る選手もいる。
島根・松江市出身の田部隼人さん(22)もそのひとりだ。「続けない」ことを決断し、引退から1年あまり、故郷で第2の人生を歩む元プロ選手に会いに行った。
松江市内のあるオフィスを訪ねると、「こんにちは~」と笑顔で出迎えてくれたのが、田部隼人さんだ。
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松江市出身で、地元・開星高校に進学。高校時代の公式戦通算打率は4割超、長打が魅力の大型内野手としてプロからも注目。
2019年のドラフト会議で横浜DeNAベイスターズから5位で指名され、プロ入りを果たした。
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しかし、“戦力外”になるまでの3シーズンで1軍出場はわずか3試合。思うような成績を残せないまま、2022年オフに「戦力外通告」を受けた。
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それから1年あまり。田部さんは地元・松江に戻っていた。
アルバイト生活を経て、父親の紹介で、半年ほど前から東京に本社があるIT関連のベンチャー企業の松江事務所で、正社員として働いている。
田部さんが主に取り組んでいるのは、新規事業のアスリートのキャリア支援だ。現役アスリートから寄せられる「セカンドキャリア」について相談に応じ、次の就職先を紹介している。
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田部隼人さん:
自分自身が現役の時に、もうちょっといろんな職種に触れておけば良かった。今、現役でやっている方に、「今のうちに調べておいた方がいいです」とアドバイスするようにしている。
パソコンは人差し指で打つ状態だった
元プロ野球選手という経歴が今の仕事に生きていると話す田部さんだが、アスリートからサラリーマンへの転身は、想像以上に大変だったようだ。
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「この会社に入って、パソコンを触り始めた感じ。それこそ、人差し指でキーボードを打っていました」と話す通り、最初はパソコンも使えない状態だったが、先輩のサポートもあり、今では、打ち合わせや商談を1人で任されるまでになった。
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ふるさとで踏み出した第2の人生も軌道に乗り、表情もいきいきとしているが、「戦力外通告」は、さすがにショックが大きかったと、田部さんは当時を振り返る。
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田部隼人さん:
育成契約の話もいただいていたんですけど、タイミングもあったし、最終的には、自分に自信が持てなかったというのが一番大きい。消去法的なところですよね。プロとして「やめたい」というよりは、自信がないから「やめる」という選択に至りました。
「社会人としても輝けるように」
「戦力外通告」から1年あまり、仕事も軌道に乗った今は、気持ちを切り替えることができたという。
以前は、自分が関わっていた選手が1軍にいるのを見ると、もう1年やっておけばどうなっていたのかと思うこともあったが、仕事も軌道に乗り、そういう思いは全くなくなったそうだ。
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田部隼人さん:
プロ野球という最高峰の舞台、輝いている世界を1回見ているので、社会人としても輝けるように頑張りたい。
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“野球一筋”から一転、未知の世界へ。
元プロ野球選手という強みを最大限生かせる仕事に出会えた田部さんは、自身の経験を糧に、現役アスリートに寄り添いながら、第2の人生を歩んでいる。
(TSKさんいん中央テレビ)