電車内の座席やつり革などの「鉄道古物」。鉄道好きの中には、これらを欲しいと思う人もいることだろう。

そこでJR東日本とJR東日本商事、KDDIの3社が、デジタル空間に「横須賀・総武快速線 E217系」電車の車両内を再現し、座席やつり革などの「鉄道古物」の販売に向けた需要調査のための実証実験を2月14日~22日に行った。

この実証実験では、「横須賀・総武快速線 E217系」電車のスキャンを行い、3Dモデル化。車両内をデジタル空間上に再現した。

今回の実証実験の「デジタル空間」(FNNプライムオンライン編集部が画面を撮影)
今回の実証実験の「デジタル空間」(FNNプライムオンライン編集部が画面を撮影)
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デジタル空間にアクセスすると、車両の内部を自由に移動しながら興味がある部品を指定し、コメントを書き込むことが可能。ただし、実際に購入することはできない。

実証実験中に、このデジタル空間にアクセスしてみたところ、「つり革が欲しい」「LED表示器が欲しい」「クロスシートが欲しい」など、それぞれの部品の箇所にコメントが書き込まれていた。

今回の実証実験の「デジタル空間」(FNNプライムオンライン編集部が画面を撮影)
今回の実証実験の「デジタル空間」(FNNプライムオンライン編集部が画面を撮影)

JR東日本は「この機能により、鉄道古物の需要をより詳細に調査でき、今までにはなかった新しい部品を購入できる機会の提供を目指します」としている。

デジタル空間を活用した興味深い実証実験であったが、どのような狙いがあるのか?また、今回の実証実験を受けて、「鉄道古物」に関してどのようなサービスを提供しようと考えているのか?

JR東日本の担当者に“狙いと今後の展開”を聞いた。

「E217系」を選んだ理由

――改めて「鉄道古物」の販売とは何?

廃車される車両や使わなくなった鉄道関係の部品を「鉄道古物」として販売することです。


――今回の実証実験の狙いは?

デジタル技術の活用で、鉄道車両の古物販売をより楽しく体験していただき、身近に感じてもらうことで、鉄道のファンを増やしていきたいと考えております。

また、「鉄道古物」を購入したいお客さまのご要望を叶えるための手段になり得ると考え、今回の実証実験を行いました。


――デジタル空間に再現する車両として「横須賀・総武快速線 E217系」を選んだ理由は?

横須賀・総武快速線は「E217系」から「E235系」への置き換えが進んでおり、今後、古物販売する可能性がある車両として「E217系」を選びました。

「横須賀・総武快速線 E217系」(提供:JR東日本)
「横須賀・総武快速線 E217系」(提供:JR東日本)

――車内にある全てのものがコメントの対象だった?

デジタルトレインの空間内の全ての場所に、コメントをすることが可能です。

「鉄道古物」の予約販売サービスを検討

――「車内にある全てのもの」、たとえば?

座席、つり革、広告枠などがあります。


――今回の実証実験を受けて、どのようなサービスの提供を考えている?

「鉄道古物」の予約販売サービスの提供などを検討しています。

今回の実証実験の「デジタル空間」(FNNプライムオンライン編集部が画面を撮影)
今回の実証実験の「デジタル空間」(FNNプライムオンライン編集部が画面を撮影)

今回の実証実験を受けて、JR東日本は「鉄道古物」のどのようなサービスを提供するのか、引き続き注目していきたい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。