夜の通りに飲食店や雑貨店などが屋台形式で営業する「夜市」。台湾や東南アジアを中心にみられ観光客にも人気だ。この「夜市」を宮城県仙台市中心部の商店街で実施するという案が、2024年の始まりに突如、浮上した。その背景には東北有数の都市でありながら、全国規模で展開する企業が支店を置くいわゆる“支店経済都市”の悩みがあった。

突如浮上「夜市」構想 仙台市長も期待感

一番町四丁目商店街
一番町四丁目商店街
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 周辺には宮城県庁や、仙台市役所、そして東北一の繁華街・国分町が隣接する「一番町四丁目商店街」。この場所の活性化策として、2024年の始まりに浮上したのが「夜市」構想だ。  

 仙台市によると「夜市」構想は一番町四丁目商店街との話し合いの中で、2028年に完成する市役所の新庁舎整備と連動した商店街の活性化策の一つとして提案された。具体的には377メートルにわたる商店街に、飲食ブースや音楽イベントスペースなどを設けることが検討されているという。

郡和子仙台市長
郡和子仙台市長

 郡和子仙台市長は、年頭の会見で記者から「夜市」構想について問われると「一つのアイデア」とした上で、「(2028年に)新しい市役所本庁舎ができる。その局面において、一番町四丁目商店街の魅力も高めることと勾当台・定禅寺通、国分町界隈と連携できるような周遊できる取り組みもまた重要になってくる」と期待感をにじませた。

“支店経済都市”の悩み 家賃上昇で地元企業は衰退

 仙台商工会議所などの調査によると、一番町四丁目商店街周辺では、コロナ禍で減った人流が、まだコロナ前の水準に戻っておらず、活性化対策が急務となっていた。 

勉強会の様子
勉強会の様子

 こうした中2月7日、仙台市内で、宮城県内の経営者などが参加して、「仙台市内中心部での夜市構想の実現」を議論する勉強会が開かれた。

桜井鉄矢さん
桜井鉄矢さん

 そこにパネリストとして参加したのは仙台市を中心に複数の事業を展開する桜井鉄矢さん。「仙台夜市」の実現を願う一人だ。桜井さんは、仙台市内は観光客が楽しめるコンテンツが少ないと指摘。特に夜の時間はそうした特徴が顕著で、仙台駅前から東北一の繁華街・国分町に繋がるアーケードは午後10時以降、多くの店が閉店し、経済損失は大きいと訴えた。

 「駅前から国分町の動線を作らないとまずいです。何も知らない人が国分町に行きたいとなっても、国分町に行くまでの道って真っ暗なんですから」 

 そこで桜井さんが解決策として打ち出したのが、仙台駅前のアーケードを3メートル間隔で区切り、午後8時以降に安価で地元の事業者に貸し出すという独自の仙台夜市構想。桜井さん曰く、そもそも地元の事業者の間では仙台駅前の夜の閑散具合をなんとかしないといけないという声がある一方、それができない事情を次のように説明した。

 「仙台市中心部は大手資本の支店が集まり家賃が上がっていて、地元企業は出店できず地域の衰退を招いている」

 仙台駅前のアーケードに出店するには、敷金や礼金などの初期投資が少なくとも数千万円、そしてそこから月々の家賃や人件費などを支払っていく必要がある。資本力のある大手チェーンならともかく、地元の事業者にとってそれは大きな負担となっているという。 

 桜井さんは、アーケードで夜市をすることで、地元事業者に活気が生まれ、その熱が街に伝播し、それが観光資源になると訴えた。また防犯に関しても、アーケードにはもともと監視カメラが設置されており、初期投資も抑えられると具体的な話も展開。「実現に向けて鍵となるのは商店街の賛同が得られるかだ」と強い思いをにじませた。

七十七リサーチ&コンサルティング・田口庸友さん
七十七リサーチ&コンサルティング・田口庸友さん

 また、地域経済の専門家・七十七リサーチ&コンサルティングの田口庸友さんは「東北に訪れる海外観光客は全体の1%ほど。今後さらに引き込むためにも夜市は魅力的な観光資源になる」と指摘。そのうえで「そもそも現在使われていない夜の時間と場所を生かすことはプラスでしかない」と期待感を込めた。

 参加した人からは「先行事例が無いと、なかなか動けないということが非常に多い。最初に良いか悪いか考えるとできることって少なくなっちゃうので、まずはこうした勉強会も含めて小さいスケールから動き出していくことが大切だ」「夜にお金を使う場所、楽しく過ごせる場所が少ないと思っていた中で、どう街を楽しくしていくかと考えていきたいタイミングだったので、そういうことが(夜市が)起きていくとより良く、地方都市は楽しい場所になっていくとすごく思いました」などと構想の実現を期待する声が聞かれた。

仙台駅周辺からの人の流れを

 仙台市は市議会2月定例会で、一番町四丁目商店街の活性化対策のための予算として、750万円を計上した来年度の一般会計当初予算案を提出。早ければ7月にも「夜市」を試験的に実施するという案もあるという。

 仙台市中心部では、2023年6月にヨドバシ仙台第一ビルが開業し、仙台駅東口の再開発が進むなど、人の流れが仙台駅周辺に集中している現状がある。一番町四丁目商店街周辺では、ファッションビル「仙台フォーラス」が3月から長期休業に入るなど、人流の面で懸念があるのも確かだ。

 こうした中で「夜市」構想が活性化策の一手となるのか…今後の動向に注目が集まる。

(仙台放送)

仙台放送
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