2021年、兵庫県稲美町の自宅に放火し、同居する12歳と7歳のおいを殺害した罪に問われ、死刑を求刑されている男の裁判で、神戸地裁姫路支部は懲役30年の判決を言い渡した。

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無職の松尾留与被告(53)は2021年、兵庫県稲美町の自宅に火をつけ、同居する妹夫婦の長男・松尾侑城君(当時12)と次男・眞輝君(当時7)を殺害した罪に問われている。

これまでの公判で松尾被告は起訴内容を認めていた。 検察側は死刑を求刑し、弁護側は軽度の知的障害があることなどを理由に情状酌量を求めていた。

15日午後1時半から始まった公判で、神戸地裁姫路支部の佐藤洋幸裁判長は、松尾被告に「懲役30年」の判決を言い渡した。

■一番大事なものを奪って、俺の苦しみを分かってもらいたかった

亡くなった長男・松尾侑城君と次男・眞輝君
亡くなった長男・松尾侑城君と次男・眞輝君

事件前、亡くなった2人の男児の両親は、同居している松尾被告が、無断で自分たちの部屋に入るなど、異常な行動が目立つようになったことから部屋の前に防犯カメラを設置していた。裁判の中で、防犯カメラを設置されたことなどについて松尾被告は、「人間扱いされていない」と不満がつのっていたと語っていた。

子供2人を標的にした理由については、「あいつら(妹夫婦)の一番大事なものを奪って、俺の苦しみを分かってもらいたかった」などと話していた。

検察側は「残虐な対応で、計画性も認められる」などとして、松尾被告に死刑を求刑。一方、弁護側は、松尾被告に軽度の知的障害があり、「(妹夫婦によって)精神的に追い詰められていた」などと主張して、情状酌量を求めていた。

■「軽度な知的障害、家庭環境が影響を与えたことは否定できない」

神戸地裁姫路支部
神戸地裁姫路支部

判決で佐藤洋幸裁判長は、問題解決能力の低さ、軽度な知的障害、家庭環境が影響を与えたことは否定できないと指摘し、死刑選択の観点で言えば、親族間トラブルを背景としているものであるとして、死刑選択はやむを得ないものというわけではないと述べ、刑期は最長であるべきなものの有期刑の最長とすべきとして、懲役30年を言い渡した。

また、松尾被告に対し「命の重みをもっと考えねばならない。生命を軽く考えていたのは否定できない。重大なことをしたことを反省すべき。やってしまったことは一生忘れてはならない。一生背負っていかねばならない。自分が死んでしまえば済むと考えているかもしれないが、自分が死んでも2人は帰ってこない。2人への強い謝罪の気持ちを持ちながら生きていってほしい」と語りかけた。

関西テレビ
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