4歳の娘を殺害した疑いで、資産家一家の両親が逮捕された。家族の周辺では他にも親族の“不審死”が起きていた。

浅草でホテル経営 “資産家”夫婦を逮捕

2023年6月、自宅マンションの前に現れた体格のいい男と、周辺を気にするように歩いていた女。
2人は東京・浅草で人気のホテルを経営していた夫婦。2月14日、4歳の娘を殺害した疑いで逮捕された。

逮捕された細谷志保容疑者
逮捕された細谷志保容疑者
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逮捕されたのは、東京・台東区のホテル経営者・細谷健一容疑者(43)と妻の志保容疑者(37)。午前9時45分、捜査員に連れられて出てきた志保容疑者は手で顔を覆っていた。

逮捕された細谷健一容疑者
逮捕された細谷健一容疑者

2人は2023年3月、娘の美輝(よしき)ちゃん(当時4)に向精神薬の他、車のエンジンの冷却に使われる“不凍液”などを大量に与え、中毒死させた疑いが持たれている。

体内から検出された成分の毒性は

美輝ちゃんの異変を消防に知らせたのは、父親の健一容疑者だった。

「娘が息をしていない」

消防に女児の異変を通報したのは健一容疑者だった
消防に女児の異変を通報したのは健一容疑者だった

この通報を受け救急隊が駆けつけると、美輝ちゃんは上半身は裸、下半身はおむつをはいた状態だったという。

美輝ちゃんは病院に搬送されたが、その後死亡した。

向精神薬のオランザピン、エンジンの冷却水などとして使われるエチレングリコールが検出された
向精神薬のオランザピン、エンジンの冷却水などとして使われるエチレングリコールが検出された

捜査関係者によると、美輝ちゃんの遺体に外傷はなかったものの、体内から向精神薬「オランザピン」、そして「エチレングリコール」が検出されたという。

エンジンの冷却水などとして使われるエチレングリコールの毒性について、専門家はこう指摘する。

エチレングリコールは腎臓や肝臓に障害をもたらし、蓄積が進むと神経自体がやられてしまうと指摘
エチレングリコールは腎臓や肝臓に障害をもたらし、蓄積が進むと神経自体がやられてしまうと指摘

法科学研究センター 雨宮正欣所長:
体の中に入っていくと有害な物質に変換されて、腎臓だとか肝臓だとか、そういうものに障害が出ると。さらに蓄積が進みますと、神経自体がやられてしまって重篤な障害が出る可能性がある。

そうした毒性に向精神薬の成分が加わることで、美輝ちゃんは中毒死したとみられている。

近隣住民も3人目の子どもを見かけず

美輝ちゃんは、なぜ殺害されたのか?近所の人は、一家の普段の様子についてこう話す。

「旦那さんの方はあいさつしてくれる印象があったが、奥さんの方はあまり声を発することはなかった」
「旦那さんの方はあいさつしてくれる印象があったが、奥さんの方はあまり声を発することはなかった」

近隣住民:
(志保容疑者は)全然普通のママって感じの方なんで。

近隣住民:
旦那さんの方はあいさつしてくれる印象があったんですけど、奥さんの方はあまり声を発することはなかったです。奥さんの方はミニワンピとか着ているときもあったので、派手な印象はありました。

近所では資産家として知られていたという2人。浅草でホテルを経営し、多くの外国人利用客で繁盛していたという。

死亡した美輝ちゃんは末っ子だった
死亡した美輝ちゃんは末っ子だった

関係者によると、2人には3人の子どもがいて、死亡した美輝ちゃんは末っ子だった。その家族関係に関しては気になる証言がある。

「ニュースを見て女の子(美輝ちゃん)がいるのを知った」とも
「ニュースを見て女の子(美輝ちゃん)がいるのを知った」とも

近隣住民:
ニュースを見て女の子(美輝ちゃん)がいるのを知ったので。

近隣住民:
お父さんと子どもたち2人(長男・長女)は一緒にいましたね。

── 亡くなった子(美輝ちゃん)の姿を見たことは?
近隣住民:

見たことはないです。一番下の子は見たことがなくて。

2カ月余りで保育園から連絡5回、計8カ所の傷

さらに、東京都や台東区などへの取材を通じて浮かんできたのは、2人による美輝ちゃんへのネグレクト=育児放棄が疑われるという生活実態。

2019年、美輝ちゃんら3人の子どもを児童相談所が保護することがあったという。

さらに、美輝ちゃんが亡くなる前年の2022年9月1日、通っていた保育園から、美輝ちゃんの頬や両腕にひっかき傷があったと報告があった。さらに9月29日には、右のおでこに、たんこぶができていたという。

亡くなる前年の2022年9月、通っていた保育園から美輝ちゃんの頬・両腕にひっかき傷があったと報告
亡くなる前年の2022年9月、通っていた保育園から美輝ちゃんの頬・両腕にひっかき傷があったと報告

その後も美輝ちゃんの体に傷が発見され、 11月4日までの2カ月余りで5回も保育園から連絡があり、合わせて8カ所の傷が確認されたという。これについて、東京都は「暴行」とは認定していなかった。

健一容疑者の姉も“不審死”か

加えて、容疑者夫婦の周辺での不審な死は他にもある。

2018年に死亡した健一容疑者の姉の遺体にも不審な点があったという
2018年に死亡した健一容疑者の姉の遺体にも不審な点があったという

2018年、健一容疑者の姉・細谷美奈子さん(当時41)が、2人と同じマンションの別の部屋で死亡。遺体の状況には不審な点があったという。

多くの謎が残ったままのこの事件。

美輝ちゃんの殺害の容疑について、健一容疑者は「関与していません」と容疑を否認、志保容疑者は黙秘しているという。
(「イット!」2月14日放送より)