自民党の派閥の裏金疑惑をめぐって、高鳥修一衆院議員が混乱の責任をとり、自民党新潟県連の会長を辞任すると表明した。高鳥議員側は派閥からのキックバック500万円以上を、収支報告書に記載していなかった。会見で訴えたのは派閥幹部への怒りだった。

500万円超の不記載… 県連会長を辞任

「政治不信を招き、皆様にご心配をおかけしたことを改めて心からお詫び申し上げます」

2月7日に新潟県上越市で会見を開いた自民党の高鳥修一衆院議員。自民党県連の会長を辞任すると表明した。

自民党 高鳥修一 衆院議員
自民党 高鳥修一 衆院議員
この記事の画像(11枚)

その理由について…

高鳥修一 衆院議員:
本来、記載すべきものを報告書に記載していなかった。監督責任は私にある。今回、私はその道義的責任をとり、けじめをつけるため県連会長の職を辞するとともに、清和政策研究会にも退会届を提出することと致しました

政治資金パーティーをめぐって、派閥から議員側への政治資金収支報告書に記載されていないキックバックが明るみとなり、裏金疑惑が浮上している自民党の安倍派。

安倍派に所属していた高鳥議員が代表を務める政治団体も2018年からの5年間で544万円の派閥からのキックバックを収支報告書に記載していなかった。

高鳥修一 衆院議員:
ノルマを超えた分を「事務所の売り上げにしていい」と、いつ聞いたか、誰に聞いたかよく思い出せないが、聞いた記憶がある

「目が行き届かなかった」管理は担当者に一任

ただ、自身がパーティー券の販売に関し、指示を出したことはなく、他の事務所と同じように担当者が派閥の指示に従って処理してまったと話す高鳥議員。

議員の誰も疑問を持たなかったのは問題では?との問いに対して…

高鳥修一 衆院議員:
今回、逮捕・起訴された方のように、何でも自分でやらないと気が済まない、お金の管理も自分で口を出す人と、私のように、日常の業務が東京都の2.2倍の面積がある新潟は、その中を日々活動する中で、とてもそこまで目が行き届かなかった。そして私自身が、これは皆さん信じていただけないかもしれないし、おかしいと思われるかもしれないけど、お金にそんなに強い関心を持っていない。秘書は長い信頼関係でやっているので、着服とかおかしなことをする人ではないので、そこは委ねていた。一任していた

キックバックは“現金” 事務所費などに

また、修正された収支報告書ではキックバックの受け取り日は不明となっているが、振り込みなどではなく、担当者が現金で受け取っていたことを明かした。

高鳥修一 衆院議員:
現金で派閥の事務所に取りに行っていた。それを受け取ったときに控えがあることも初めて知った

キックバックの使い道については、244万円を事務所費や人件費に充てたとしていて、残る297万円については、会計責任者が現金で保管していたという。

派閥幹部へ怒り「汚名着せられた」

東京地検特捜部からの取り調べは受けておらず、自身の関与は繰り返し否定した高鳥議員は安倍派幹部への憤りを口にした。

高鳥修一 衆院議員:
各議員の事務所は派閥からの指示に従って処理していたのであって、今回ノルマを超えたすべての事務所は、これは清和研所属の約9割だと思うが、裏金の汚名を着せられることになった。真実を語らない幹部には強い憤りを感じる

役職を辞するという判断に至った高鳥議員だが、議員辞職については「考えていない」と強調した。

564万円不記載の細田議員 会見要請に応じず

一方で、同じく派閥から564万円のキックバックを受けたものの、収支報告書に記載していなかった旧新潟2区選出の細田健一衆院議員は、新潟県政記者クラブが会見の開催を要請するも応じず、コメントを発表した。

細田健一 衆院議員
細田健一 衆院議員

細田健一 衆院議員:
政治資金の正確性・透明性の一層の向上に務めるとともに、皆様からの信頼回復に真摯に努めて参ります

新潟県連 新体制へ「信頼回復に努める」

政治への不信感が増す中、新潟県連会長の後任には全国比例区選出で現在3期目の佐藤信秋参院議員(新潟市出身)が内定した。

佐藤参院議員は「信頼をお寄せいただくのが何よりもお願いしたいと思うが、そのためには我々も、こういう形でスクラム組んでいきましょうと、これが大事なことだと思っている」と決意を語った。

佐藤信秋 参院議員
佐藤信秋 参院議員

しかし、全国比例区選出の議員が県連会長に就任することは異例だ。地元以外での活動も多いことから、同じく会長候補として名前の挙がった鷲尾英一郎衆院議員を国会議員団長とし、活動をサポートする考えだ。

鷲尾英一郎 衆院議員
鷲尾英一郎 衆院議員

鷲尾議員は「皆さんとの信頼をつなぎとめていかなければならない。これは相当しんどいことだと思うが、しっかりと外に向けて信頼回復に努めると、この方向感は共有できるようにして、しっかり活動していきたい」と語った。

果たして新体制で県民の信頼は回復できるのだろうか…

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
NST新潟総合テレビ

新潟の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。