冬の山形で収穫される「雪国レモン」の収穫量が、2024年は過去最多となった。寒い地域では難しいとされるレモン栽培に成功して10年、その使い道が広がっている。

果汁が多く皮ごと食べられる

山形市松原の果樹農家・石岡浩明さんは、オレンジとレモンを掛け合わせた「マイヤーレモン」を「雪国レモン」と名付け、栽培している。

この記事の画像(12枚)

石岡さんはビニールを二重に張った特別なハウスを使い、寒い地域では難しいとされるレモンの栽培に成功した。10年目を迎えた2024年の出来は「まずまず順調」だという。

ハンドレッドベリーズ・石岡浩明さん:
夏は暑くて心配したが、まずまず順調に来て、ことしは1,000個以上収穫の見込み。木が大きくなってきたのが一番の要因。年々レモンが木の成長と共に増えている

普通のレモンに比べると皮が薄く、果汁が多いのが特徴。加えて無農薬栽培のため皮ごと食べられる。

ハンドレッドベリーズ・石岡浩明さん:
皮ごと食べられるレモンはあまりない。皮を食べていただきたいのが一番望んでいること。お客さん独自にアレンジして食べてほしくて、それがおいしかったらフィードバックしてもらい参考にしたい

ソバにトッピング かき揚げにも

山形市五十鈴にある「食事処・玉子屋」のソバには、輪切りの雪国レモンがトッピングされている。

石岡さんが常連客だった縁で考案し、2023年から冬限定で提供している。

実は、レモンの皮に含まれる栄養素は果汁の約10倍。雪国レモンを皮ごと使い、パプリカや鶏むね肉と合わせることで、健康を意識した薬膳ソバに仕立てた。

食事処玉子屋・深瀬大輔さん:
雪国レモンは、栄養価が高いスーパーフード。レモンに合う食材や使う食材の成分を調べて、薬膳ソバとしての効能を考えて作った

ハチミツ漬けされた甘酸っぱい雪国レモンが、冷たいソバとよく合う。
さらに、雪国レモンを使ったかき揚げもある。

「地元の物は地元で盛り上げるのが一番良い。採れたて新鮮が一番」と話す深瀬さん。「多くの人に食べてもらいたいので、気軽に、女性1人でも来てほしい」と呼びかけた。

パティシエも驚き 香りが続く…

雪国レモンの使い道は、ほかにもある。

天童市北目の洋菓子店「武田」に2024年から登場したケーキ「ピエールコリン」には、トッピングだけでなく、2種類のムースの間に挟みこんだママレードにも雪国レモンを皮ごと使っている。

パティシエの後藤宏行さんは、雪国レモンの香りにまず驚いたそう。

山形旬菓詩武田・後藤宏行さん:
香りの強さが全然違う。とても香りが良くて、香りが続く

約1カ月間、試行錯誤し、雪国レモンの特徴を存分に生かしたケーキに仕上がったと自信をのぞかせる。

山形旬菓詩武田・後藤宏行さん:
雪国レモンの甘み・香りを生かしつつ、皮の良さが出るようにママレードに入れた。雪国レモンだからこそできるケーキ

ケーキの名前にもこだわり

そして、ケーキの名前には石岡さんへの敬意が込められている。

山形旬菓詩武田・後藤宏行さん:
「石」がフランス語でピエール、「岡」がコリンと言う。雪国レモン生産者の石岡さんへの感謝の思いを込めて「ピエールコリン」という名前にした

山形県内で使い道がどんどん広がっている「雪国レモン」。石岡さんも2024年6月ごろ、雪国レモンを使ったジェラートの店を自らオープンする予定。

(さくらんぼテレビ)

さくらんぼテレビ
さくらんぼテレビ

山形の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。