2月の秋田は、県内各地で小正月行事がめじろ押しだ。しかし、共通の悩みは深刻な「雪不足」…2月なのに雪がない。やむなく中止を決めたところもあるが、雪を山からトラックで会場に運び込むなど、伝統の冬まつり開催に向けた関係者の努力が続いている。

積雪ゼロ…山間部から雪を運ぶ

湯沢市の小正月行事「犬っこまつり」のメイン会場となる湯沢市総合体育館周辺では、2月5日から「お堂」や「犬」の雪像作りが本格的に始まった。

犬っこまつりに向け雪像作り始まる
犬っこまつりに向け雪像作り始まる
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犬っこまつり実行委員会・松江大輔実行委員長:
私が生まれて50年近くなるが、初めてと言っていいほど雪は少ない。当初予定していた13基をすべては作れない状況。温度が高いので、お堂の質が心配

湯沢市の5日現在の積雪はゼロ。まつりは深刻な「雪不足」に見舞われている。会場には市の山間部から雪を約700トン運び入れたが、13基予定していた雪像は4基に減らす予定で、子どもたちが雪遊びを楽しめるエリアは作ることができない。

しかも、雪は固めても固めても溶けていくため、毎日のメンテナンスが避けられない。まつり本番は10日と11日。雪が少ない中、なんとかまつりを盛り上げようと作業が続く。

犬っこまつり実行委員会・松江大輔実行委員長:
湯沢の庶民から出来上がったまつりなので、なくしたくないことと、近年、若者がどんどん出ていく中で、おまつりをやることで湯沢に思いを持ってもらえたらと、心を込めて恥ずかしくないようなお堂を作りたい

“雪がなく質も悪い”職人たちも難儀

一方、横手市では、15日から開かれる「横手のかまくら」に向け、職人たちが連日かまくら作りに励んでいる。こちらも雪が足りず、近隣の羽後町や東成瀬村の協力を得て雪を運び込んでいる。

かまくら作りの様子
かまくら作りの様子

当初は60基のかまくらを作る予定だったが、50基ほどに減る見込みだ。気温が高かったり雨が降ったりした影響で雪の質が悪く、職人たちが知恵を絞りながらまつり本番を目指す。

かまくら職人・北嶋勝雄親方:
最悪の状態。雪質も悪く、職人たちも難儀している。「雪がないのに、よくここまで作った」と喜んでもらえれば、私たちも作ったかいがある

開催がかなわなかった行事も

まつり開催への努力を続けるところがある一方、やむなく中止を決めたところもある。美郷町の「六郷のカマクラ」を締めくくる「竹うち」だ。

十分な積雪がなく中止が決まった「竹うち」
十分な積雪がなく中止が決まった「竹うち」

「竹うち」は、青竹を持った若衆が、南北に分かれて激しく打ち合い、その年のコメの出来や価格を占う行事。まつりの一番の見どころとされているが、会場に十分な積雪がなく、安全が確保できないため中止を決めたという。

2020年は雪不足で、その後は新型コロナウイルスの感染拡大で開催中止が続き、2023年に4年ぶりに再開されたばかりだっただけに、関係者も悔しさを隠しきれない。

「伝統の冬まつりを守りたい」その強い思いを胸に準備を進める関係者が待つ「恵みの雪」が降らないまま、本番を迎えることになりそうだ。

(秋田テレビ)

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