インコの魅力を伝える“可愛らしい一覧”が、X(旧Twitter)に登場した。
インコの表情一覧できたー!
「インコに表情ない」は都市伝説です!
こんなコメントと共に投稿されたのは、インコのさまざまな表情のバリエーションを一覧にした表。無表情を始め、笑顔や怒り、悲しみ、驚きなど、全12種類の表情がある。
この記事の画像(20枚)モデルとなっている1羽のインコは、羽衣セキセイインコのふじちゃん(2歳・男の子)。ふじちゃんの表情を見てみると、1つ1つが細かく違っているのに気づくだろうか。
「笑顔」では、頭の羽がふんわりふくらみながら、くちばしを少し開き、瞳をキラキラさせている。こちらまで嬉しくなりそうな喜びを感じる。一方で、「驚き」ではくちばしをピッタリ閉じ、目を大きく見開いている。ギョッとしているのが伝わることだろう。
目の輝きや開き方、くちばしの開き具合、羽のふくらみ方と、よく見ると細かい違いがたくさん発見できる。インコは表情が乏しいと言われるそうだが、ふじちゃんの“表情一覧”を見ると、そんなことはないと一目でわかる。
この一覧を作った飼い主のいのりさん(@fujicha_____n)は、「文字起こしバージョン」もリポストに投稿。それぞれの表情について、撮影した状況やその時のふじちゃんの気持ちが書いてある。比べてみると、より表情の違いが明確に分かりそうだ。
この一覧表を見た人からは「これは素晴らしい~!」「思ってたより表情豊かですね」という驚きの声が寄せられている。鳥を飼っている人からも「分かりみが深いです」「なんかめちゃくちゃわかる笑笑」という共感の声もあった。
なお、いのりさんは後日、「眠い」「ほしい」など、さらに4つの表情を追加で作成。豊富な表情はどれも可愛らしく、インコの魅力があふれていた。
「小鳥をよく知らない方も楽しめそうな一覧に」
一覧を見て初めてインコに表情があることに気づいた人もいるかもしれない。だが、なぜ一覧にすることにしたのだろうか?また、表情をどのように見分けているのかも気になる。
いのりさんに話を聞いてみた。
ーーなぜ「インコの表情一覧」を作ろうと思ったの?
以前からイラスト系SNSでキャラクターの表情一覧をよく見かけており、当時Twitter(現X)でも飼い犬や飼い猫の写真で一覧を作り投稿している方もいて、とても微笑ましく眺めていました。
その後ふじと出会い、成長を見守るにつれて頭頂の梵天(長く伸びた羽)が感情の動きと連動して厚くなったり平たくなったりする特徴があることに気づき、おもしろいので私のためのアルバム感覚で表情一覧を作る目標に向けて写真を選び始めました。
でも途中から「せっかくだからフォロワーさんにもお見せしよう」「世界に公開するのだし、小鳥をよく知らない方も楽しめそうな一覧にしよう」と披露する範囲を広げた感じです。
ーー完成にはどれくらいかかった?大変だったことは何?
発想を得てからポストの画像作成までは、ふじが成長してから材料の写真を撮り始め、厳選するまでには2年ほどかかりました。一覧にするまでは2時間弱ほどです。
作成で大変だったのは、撮りたいといっても撮らせてくれないことでした。フレームアウト(走って、飛んで、スマホに乗って)、近寄られすぎてピンボケ、止まってくれなくてブレるなどの撮影ミスはたくさんですし、スマホの見た目に慣れてもらわないと表情が消えちゃうので、厳選できるほどの表情を集めるのに時間がかかりました。
ーー出来栄えはどう?
どの場面も私の写真に対しての思い残しはありませんが、文字起こしバージョンはもう少し見やすくできそうなので次回への課題とします。
見分けるポイントは1つだけじゃない!
ーーふじちゃんはどんな子?
無邪気で怖がりで思いやりのある子です。物怖じせずストレートに感情を伝えてきます。ケージの外で遊びたい時は我慢せず声や仕草でアピールしてきますし、日が暮れてケージに帰るよう誘っても満足していない時はケージに帰りたがりません。
人見知りで何かの作業で家に業者が来たりすると驚いて細くなりますし、物音にも敏感で弦楽器や打楽器の音がテレビから聞こえると、やはり細くなって目がまん丸になります。その都度「大丈夫だよ」と声かけをしていたら、先日おしゃべりのレパートリーに組み込まれていました。
私が体調不良や疲労で元気がない時、そばで見守ったり寄り添ったりして気遣ってくれます。いつも遠慮せず私の顔の上にも飛び乗ってくるのに、気にかけてくれる時は少し遠くの位置から時間をかけて様子を見に近づいてきて、何をするでもなく私にお腹をくっつけてきたり腕の上に乗ってじっとしています。
ーー表情を見分けるポイントは?
羽根のふくらみ、まぶたの緩み、くちばしと舌の動き、相手に対する体の姿勢などを見ながら判断します。
羽根のふくらみによって、見かけ上の体に対する目の大きさがかなり変わります。目が大きく見えれば緊張していて、小さく見えれば落ち着いています。指でなでられて嬉しい時は周囲の羽根に埋もれそうなほどです。
まぶたが緩んでいる時の目は、しずく型やアーモンド型に見え、相手への信頼が読み取れます。驚いたり怖がっている目はこぼれそうなほどまん丸に見開かれています。
くちばしを開く時は、インパクトがあり視線が吸い寄せられますが、舌のほうが感情を如実に見せてくれます。好きな物や相手には舌を伸ばしたり動かしたりしますが、威嚇や怒る時の舌は口の奥に引っ込んでいます。
好きな物や相手には素直に積極的に近寄っていきますし、足場が悪ければモダモダ足踏みしたり落ち着きません。見慣れない・嫌いな物や相手に対してはなるべく遠くにいたいし、威嚇や攻撃も及び腰になります。
ーー表情があることに、どう気づいたの?
ふじの幼鳥の頃は、梵天は鼻の上に薄く乗る程度で虹彩(瞳の色が付いている部分)の色も暗く、表情が読み取りにくかったです。
「雛換羽」という幼鳥の羽根から大人の羽根に大規模に生え変わる時期が終わると、ふじの梵天はボリュームが増し、さらに機嫌が良いと前髪部分の羽根が、羽毛を逆立てる立毛筋により持ち上がるようになりました。前髪が動くのを発見して「それ動くの?…もう一回できる?」と目を疑って、無茶振りを試みた覚えがあります。そのうち虹彩も色が薄くなり、表情の見えやすい子に変貌を遂げました。
共感できる“半目かつ舌が伸びている顔”も好き
ーー好きな表情はどれ?
「笑顔」と「好きな○○の前」が特に好きです。
「笑顔」はシャインマスカットを食べさせてみた時の写真です。 糖度の高いブドウなので食べすぎると心配だと思い、小指の爪ぐらい食べたところで「今日はここまでだよ」と撤収したのですが、しばらく上くちばしの裏を舐めて後味を堪能する様子がとても可愛くて「また明日もあげるからね」と声かけざるを得なかったです。
「好きな○○の前」ですが、ティッシュの切れ端相手におしゃべりしたり、かじったりと楽しく過ごすテンションのまま、スマホカメラ(を構えた私)を見ています。 いつもより足に力を入れて立つ威勢のよい出で立ちと力一杯フカフカな梵天を乗せた顔から覇気を感じるんですが、どうにも歌舞伎の見えを切る姿を思い浮かべてしまって、見る度にニコニコしてしまいます。
ーー「表情一覧」以外での好きな表情はある?
顔をかかれてすごく気持ちいい表情をする時があります。愛鳥家の間で「カキカキ」といいますが、インコ達は顔の付近をかかれるのが好きで、時には自分で止まり木などに顔をこすりつける「セルフカキカキ」もします。
かいている時に人間でいうツボ押しのツボのような「ここがかゆかったんだよね」的な場所にヒットすると、くちばしを開けて舌が伸びたり半目になったりします。私も腰痛がひどい時に背中にテニスボール転がしますし、半目かつ舌が伸びている顔に心の底から共感してしまうんです。
また、音がおもしろい言葉や好きな言葉を私が発した時に、目を輝かせ梵天だけ持ち上げて「なんて言ったの?そっちに行く!」みたいな顔をします。大概は飛んできますが、飛べばぶつかるけど徒歩では届かない中途半端な段差がある時などは、その場でモダモダと地団駄を踏んで焦っている様子が見られます。
いのりさんによると、初めての一覧表なので今回は12種類というスタートだったが、まだ紹介しきれていない表情がたくさんあるという。そこで、さらなる一覧の追加を検討しているとのことだ。載せていない好きな表情「ツボを押されたとき」を始め、ふじちゃんならではの表情も盛り込むことを考えているという。
インコの表情一覧できたー!
— 羽衣男子ふじちゃん&召使い・いのり (@fujicha_____n) January 31, 2024
「インコに表情ない」は都市伝説です!#セキセイインコ #インコ pic.twitter.com/mDG3jCreVz
「インコの表情の一覧」は、いのりさんのふじちゃんを理解しようとする日々の愛情の積み重ねで生まれたものだった。