きれいで健康な歯を保つために日々の歯磨きは大切だ。では“歯ブラシ”を皆さんはどのように選んでいるだろうか?
「やわらかめ」「ふつう」「かため」という毛のかたさを意識している人も中にはいることと思う。だが、そもそも「ふつう」とはどのような物をいうのだろうか?
そして、そんな歯ブラシを選ぶポイントは毛のかたさ以外ではどこを見るといいのか?適切な保管方法など、毎日使う“歯ブラシ”のちょっとした疑問をメーカーに聞いてみた。
答えてくれたのは「ライオン株式会社」のオーラルケアマイスター・深澤哲さん。
圧力で毛のかたさを分類
そもそも歯ブラシの毛のかたさは、JIS(日本産業規格)試験法に従って測定した、「かため」「ふつう」「やわらかめ」という3つの項目に分類されているという。
歯ブラシの毛の長さを7mmに切り揃え、カット面の上部からカット面全体に力をくわえた時の数値を測定。その測定値から算出した値(N/cm2)で毛のかたさを分類する。50~85(N/cm2)の値を「ふつう」とし、それに対し、75(N/cm2)以上は「かため」、60(N/cm2)以下が「やわらかめ」となっている。
そして、この項目名を、歯ブラシの毛のかたさとして、家庭用品品質表示法に基づいて「かため」「ふつう」「やわらかめ」の3種類のみで表記しているという。
歯ブラシを選ぶ3つのポイント
ーーJISで定められた3種類の歯ブラシの毛のかたさを選ぶポイントは何?
ハブラシの毛のかたさは「歯ぐきの状態」に合わせて選ぶと良いです。
ふつう:一般的なかたさで効率よく汚れを除去できます。歯ぐきの状態が健康なら、「ふつう」のハブラシを選ぶのが基本です。
やわらかめ:歯ぐきへのあたりがやさしいのが特長です。歯ぐきが敏感な人や歯ぐきから出血しやすい人におすすめです。歯ぐきの出血などが改善したら「ふつう」のかたさのハブラシに変えると良いです。
かため:汚れを落とす力が高いのが特長です。歯ぐきが健康で、しっかりしたみがき心地を好む人におすすめです。
ーー毛のかたさ以外では、どこを気にした方がいい?
ハブラシは、次の「3つのポイント」を考慮して選びます。
(1)使用する「目的」にあったハブラシの設計
(2)自分にあった「ヘッドの大きさ」
(3)歯ぐきの状態にあわせた「毛のかたさ」
まず、使用する「目的」にあわせてハブラシを選び、次にお口の状態や歯ぐきの状態に応じて、「ヘッドの大きさ」や「毛のかたさ」を選んでいきます。
深澤さんによると「目的」に合わせるとは、「奥歯がみがきやすい」「歯周ポケットがみがきやすい」など、歯ブラシによってある“特長”の確認が大事だそう。製品の表示をよく読み、使用する目的で選んでほしいという。
さらに、「歯並びが気になる」「隅々までていねいにみがきたい」という人は、小さめのヘッドを選ぶと良いとのこと。また、歯と歯ぐきの境目を意識して、細かくみがくためには細めのヘッドが適しているとも話している。ちなみに、横幅が広めのヘッドは、歯面に対して安定するため使いやすい場合があるという。
1カ月を目安に交換
ーー歯ブラシの適切な保管方法を教えて。
使用後はハブラシの水気をよくきってからしっかり乾燥させてください。また、毛の部分を上にして風通しの良い場所で保管しましょう。
ーー交換のタイミングはいつ?
ヘッドから毛先がハミ出していたらすぐに交換をお勧めします。毛先が開いたハブラシは汚れを落とす力が低下します。ハブラシの毛の反対側から見てチェックすると、毛先の開き具合がよくわかります。
ブラッシング圧が強いと1カ月経たずして毛先が開いてしまう場合がありますが、使用期間にかかわらず、ヘッドから毛先が少しでもハミ出していたら交換するようにしましょう。
また、毎日使ったハブラシは1カ月を目安にした交換をお勧めします。たとえ一見、毛先が広がっていないように見えても、わずかな毛の開きでも汚れを落とす力は弱まることがあります。
歯ブラシを毎月交換する習慣を広めていくことを目的として、歯ブラシの「8(歯)」から、毎月8日を「歯ブラシ交換デー」としてライオン株式会社が申請し、日本記念日協会が制定している。毎月この日に交換することを習慣化すると、忘れずにいられるではないだろうか。