能登半島地震発生から、2月1日で1カ月。
200を超える建物が焼失した石川・輪島市の「輪島朝市」を木村拓也キャスターが取材。そこで目にしたのは、復興というにはあまりにもかけ離れた被災地の現実だった。
自家製干物と接客が評判の商店
木村拓也キャスター「輪島朝市通りの火災現場です。1カ月ほどがたっても見える景色は変わりません。依然、焼け焦げた臭いがします」
この記事の画像(41枚)木村拓也キャスター「ほぼ手つかずの状況ですが、おそらくここに住まわれた方が作業をしたんだと思います。食器がきれいに並べられています」
地震発生の夜、あたり一帯が炎に包まれ、200を超える建物が消失したとされる輪島朝市。
1月31日、上空から見ても、どこから復興に着手していいかすら見出せないような状況だった。
木村キャスターは、輪島朝市で30年以上商店を営んでいた南谷良枝(48)さんのもとを訪れた。
南谷良枝さん:
これは今、避難している皆で食べるために白菜の漬物を漬けています。
震災前の2022年5月に取材した映像では、味自慢の自家製干物と心配りの接客が評判で、自分の跡を継ぎたいという娘・美有さんと力を合わせ、店を切り盛りしている様子が収められていた。
ところが1月6日、自分の店があった場所を震災後初めて訪れると、その変わり果てた様子に言葉を失い、それでも必死に前を向いていた南谷さん。
工場は傾き、片づけ作業もなかなか進まず
あれからほぼ1カ月がたった今になっても、作業場の片づけ作業に追われていた。
南谷良枝さん:
これでもすごく片付けたんですけど、(被災後)日がたつごとに工場が傾いてきていて、ここで作業していると船酔いしたみたいに気持ち悪くなってきます。
傾いた建物の中では、1日2時間の片付け作業でも限界なのだという。そんな先の見えない状況の中にも、南谷さんはある希望を見い出していた。
南谷良枝さん:
カラスミなんですけど、これが出来上がるかどうか、楽しみにしています。
このカラスミ、実は被災直前の12月29日に作り始めたもの。
南谷良枝さん:
箱に入っているまま、ストンと落ちとったから、無傷でした。
木村キャスター:
奇跡のカラスミ。よかったですね。
南谷良枝さん:
よかったです、うれしい。
「必ずここに戻ってきたい」
南谷さん親子は、知り合いのいる富山県で商品の発送作業などを再開したあと、金沢で復活予定の輪島朝市に参加する予定だという。
それでも南谷さんは、こう力強く語った。
南谷良枝さん:
私たちみんなそうなんですけど、ここがね、原点なんですよ、自分の。なので必ずここに戻ってきたいと。輪島朝市を忘れんといてほしいんですよ。こういう場所があった、これからも復活するぞっていうのをみんなに忘れんといてほしいです。輪島の女は強い。頼もしいなと思います。
(「イット!」1月31日放送より)