福岡県内2023年12月の有効求人倍率が発表され、前の月と同様の水準となった一方、運輸・郵便業では新規求人数が7.5%増えて3カ月ぶりに増加している。いわゆる「2024年問題」で懸念される人手不足を見据えて、物流業界で積極的にドライバーを確保する動きが求人に反映されたとみられている。

2024年問題まであと約2カ月

残業規制の強化で大幅な人手不足に苦しむと予想されている物流業界。

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輸送能力の低下で消費者のもとに望んだ物が、望んだ日に届かない。そんなリスクが、いま高まっている。

2024年4月から国が進める「働き方改革」の一環で、トラックドライバーの拘束時間や残業時間に規制がかかることが大きな要因だ。4月まであと約2カ月。もう目前に迫っている。

誰でも配送できる自転車を活用

福岡市博多区にある配達事務所。全国で物流事業を展開する「エニキャリ」の配達拠点の1つだ。

事務所内の荷物を自転車に次々と積み込んでいく。福岡で展開しているサービスは、主に自転車での短距離、配送となっている。

「エニキャリ」小嵜秀信社長:
日本でも、昨年度ついに宅配の個数が50億個を超えた。でもドライバーの数は減っている。そこの需給ギャップがバランスを崩して、「物が届かなくなる時代が来るのではないか」ということで創業したのが「エニキャリ」です。トラックドライバーと違って免許が必要ないので、若者であるとか、主婦の方、高齢の方でも配達ができる。

ドライバーの長時間労働と運び手不足の課題をどう解決するか?行き着いたビジネスモデルは「自転車」だった。
「エニキャリ」の配達する範囲は事務所から半径3km圏内の博多区、中央区、そして南区のエリア。自社で開発したアプリがルートを指示してくれるので、道を知らなくても配達可能だ。

車では見失う“自転車独自”のルート

どんな配達なのか?配達員に同行した。

配達員の瀬口さんが目指すのは渡辺通エリア。事務所から約5分の道のりだ。

その後ろを車で追いかけるが…。
渋滞をうまく避けて進む自転車を後方から追跡する取材班は早速、見失ってしまった。

車内にいる記者が見つけるも…
車内にいる記者が見つけるも…

慌てて周辺を探すが、なかなか見つけられない。やっと見つけ、記者が「こっち、こっち」と配達員を見つけるも、「あ、ここ入って行けない。遠回りしないといけない」車では通りづらい小道に入ってしまい再度見失う。

捜索すること約10分。ようやく配達員を発見。すでに配達を終えていた。

「エニキャリ」エリアマネージャー・瀬口惟考さん:
自転車の利点の一番は小回りが利くことかな。車じゃ入れないところでも自転車なら大丈夫というとこもあるので。免許を持っていなくても誰でも走れるのが第二のメリット。

この日は15個の荷物を1時間ほどで配り終えた。最初こそ1日数十個ほどの配達件数だったというが、慣れたことと徐々に配達員の数も増え、いまでは1日100個以上の荷物を請け負っているという。

個々にあわせた働き方で問題解決へ

現在、福岡拠点の配達員は18人。10~20代の若者を中心に活躍していて、それぞれのライフスタイルに合わせた働き方をしているという。

「エニキャリ」アルバイト:
週5日で入っています。学校始まる前とか終わった後とかにシフトに入る人もいます。

学生や社会人のダブルワークが多く、月に15万近く稼ぐ人もいるという。

「エニキャリ」小嵜秀信社長:
2024年をクリアしても、次の2030年まで荷物の量は増え、ドライバーの数は減る。その中で「エニキャリ」ができることとして、トラックドライバー以外の配達のリソースを生み出す。それがドライバー不足に対しての私たちなりの答え。

エニキャリは、博多の拠点に続いて第2の配達拠点となる「薬院拠点」も開設した。

経済に大打撃を与える可能性が大きい物流の「2024問題」。トラックドライバーの残業規制強化まであと約2カ月だ。

(テレビ西日本)

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