石川県境に近い富山県氷見市姿地区。能登半島地震発生後、高齢化が進むこの地区には市が指定する避難所はなく、自主避難所を設置し、断水が解消されるまでの3週間余りを過ごした。そこには住民同士が助け合う「共助」の姿があった。

集会所を自主避難所に

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1月10日。

地震で大きな被害に見舞われた氷見市姿地区。

地区にある集会所で、住民が避難生活を続けていた。

地震発生後、氷見市が学校やスポーツセンターなどの公共施設に避難所を設ける中、姿地区は、集会所を避難所とした。

海と山に囲まれた姿地区は、津波や土砂崩れの危険があり、市が指定する避難所がない。

液状化の影響で多くの家屋に被害が出る中、津波警報が発令。住民の多くは、近くの寺に避難した。

住民が避難した長福寺
住民が避難した長福寺

津波警報が解除された後も、寺の本堂が倒壊する危険があり、住民たちは倒壊のおそれがある自宅に戻るか、地区から車で15分ほどかかる市指定の避難所に移動する必要に迫られた。

氷見市姿地区 山本譲治区長
氷見市姿地区 山本譲治区長

氷見市姿地区 山本譲治区長:
「(避難所は)旧灘浦小学校に行かなくてはならないが、高齢者をどうやって送るとかもたもたになっていたので、ここ(集会所)に避難してもらおうと」

地区には高齢者が多く、市の避難所に行けない人がいたため、区長の山本譲治さんは、集会所を避難所にする決断をした。

住民同士が助け合う‟共助”の姿

避難当初、不足していた飲料や食料は、市や関係機関と連絡を取り、物資が届くようにし、バリアフリー化されていないため、車いすの高齢者がトイレを使用する際、男性2人で介助した。

支援物資を運ぶ住民
支援物資を運ぶ住民

加えてインターネットが使えない高齢者のために、ホワイトボードに市からの情報を書き込んだほか、市に依頼して災害ごみが捨てられる「クリーンボックス」も設置。

住民で助け合いながら1日1日を乗り越えていった。

災害ごみを仕分ける山本区長
災害ごみを仕分ける山本区長

氷見市姿地区 山本譲治区長:
「とりあえず、仕分けだけでもしないと姿地区でいろんなごみが入っていたって言われるといやだし」

ごみを捨てに来た住人:
「とっても便利。向こう(仮置き場)まで行くと並ばないといけないでしょ?ここだとすぐ捨てられるから」

地震から3週間余りが経った1月23日。

市内全域で、水道が復旧したため、避難所の閉鎖が決まり、姿地区の自主避難所も閉鎖された。

避難所生活を振り返る山本区長
避難所生活を振り返る山本区長

氷見市姿地区 山本譲治区長:
「集落の皆さんには炊き出しに手伝いに来てもらったり、男の人も手伝いに来てもらったり、本当に皆さんの力があってこの避難所が成り立った」

石川県境に近い小さな地区の「共助」。

住民同士の助け合いの「姿」が、そこにあった。

(富山テレビ)

富山テレビ
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