東京都は、弾道ミサイル攻撃への備えとして、都営地下鉄・麻布十番駅に「地下シェルター」を整備する。小池都知事は北朝鮮のミサイル発射に危機感を表明し、昨年フィンランドのシェルターを視察していた。

防災備蓄倉庫があるため採用

弾道ミサイル攻撃に備え、東京都が都営地下鉄・麻布十番駅の構内に住民らが避難・滞在できる「地下シェルター」を整備することがわかった。

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関係者によると、都は、弾道ミサイル攻撃から都民の生命と財産を守るため、麻布十番駅に併設された防災備蓄倉庫を活用し、「地下シェルター」を整備するという。

また、滞在が長期化した場合に備え、換気設備や水、非常用電源などのほか、食料の備蓄についても検討し、設置についての技術的調査を進める考えだ。

都はこれまでに駅などの公共施設約4200カ所を「緊急一時避難施設」に指定し、1月も都営地下鉄・東中野駅で避難訓練を行っている。

このニュースについて、社会部の小川美那都庁キャップがお伝えする。

麻布十番駅という場所が選ばれたのは、なぜなのだろうか。

麻布十番駅の大江戸線ホームは地下6階で、駅中心の地表からホームまでの距離が32.5mと地下深い構造になっている。また、都営地下鉄の駅で防災備蓄倉庫があるのは、麻布十番駅と清澄白河駅しかないためだ。

「なぜ麻布十番駅」と言うよりは「まずは麻布十番駅」で、モデル事業として研究調査し、そこから進めていこう、という考えのようだ。

国全体として考える問題

なぜ今、東京都はシェルター整備を進めているのだろうか。

小池都知事は「北朝鮮がミサイルを打つことにあまりにも慣れすぎている」と都議会で述べて、危機感をあらわにしていた。

そもそも「地下シェルター」について小池知事は、以前から強い関心を持っており、2023年8月にはフィンランドの首都・ヘルシンキの地下シェルターを視察している。

フィンランドでは、ロシアの脅威などから大きな建物には避難施設を備えることが義務付けられている。

ヘルシンキの避難所は長い階段を下って地下に行くと、普段は子供たちの遊び場として使われている場所が「地下シェルター」になっていた。東京都はこのような施設を参考にしていくと思われる。

また、ヘルシンキの避難所は食べ物の備蓄がなく、記者がフィンランドの防災担当者に尋ねると、「食べ物は、避難する人、自ら持ってくるものだ」との答えで、量は最低3日分を目途としているという。

フィンランドのシェルター内の設備
フィンランドのシェルター内の設備

フィンランドでは、国民のほとんどが入れる数のシェルターが用意されており、ヘルシンキなどは人口より多い人数を収容できるシェルターを確保している。

東京都の取り組みは良いことだが、国全体で考えなくてはいけない問題でもある。
(「イット!」 1月25日放送より)

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