能登半島地震による液状化現象で被害が拡大し、想定を上回る災害ごみが出ている富山県氷見市。地震から3週間が経っても高齢者世帯を中心に片付けが進んでいない。各自治会ではボランティアと協力し、一歩ずつ復興に向けた歩みを進めている。

想定を上回る‟災害ごみ”

災害ごみの仮置き場(富山県氷見市)
災害ごみの仮置き場(富山県氷見市)
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割れたガラスやブロック塀、損壊した住宅の木材など…。

1月21日に取材した氷見市にある災害ごみの仮置き場。休日ということもあり、朝から災害ごみを乗せた車が列を作っていた。

災害ごみを捨てに来た人:
「きょうはこれで3回目。前の日から段取りして。」
「朝は大丈夫だったが、今は30分ほど待っている。なるべく早くしてもらえると助かる。休みにならないと片づけられないので。」

今回の震災で見えてきた課題のひとつが、液状化現象によって被害が拡大し、災害ごみの発生が想定を大きく上回ったことだ。

仮置き場まで災害ごみを運んでもスペースが狭く、持ち込む日時も週末や休日に集中するため、ごみを捨てる車ですぐにいっぱいになってしまい、持ち込んだごみも、家電製品やガラス、コンクリートなど11種類に分けなくてはならず、業者やボランティアが手伝いに入るが、人出も十分とは言えない。

片づけを急ぎたい被災者の思いとは裏腹に、仮置き場での処理に長い時間がかかってしまっている。

災害ごみを片付ける男性:
「2月末まで被災ごみの受付をやっているが、間に合わないんじゃないかなと」
「もう少したくさん運ぶことができて捨てるところも2か所か3か所ほどあれば、少しは楽なのに」

震災後、氷見市では1月4日から災害ごみの仮置き場を設置。21日までに4488件の災害ごみを受け付けた。

災害ごみ問題 高齢世帯に大きな負担

災害ごみに関する深刻な問題を抱えているのは、氷見市北部の山間部に住む高齢者世帯だ。

氷見市の姿地区は、仮置場まで12キロと距離があるうえに、車を運転できない高齢者世帯が多く、災害ごみの処理はほとんど進んでいない。

そこで自治会は「クリーンボックス」の設置を氷見市に要望し、ごみの分別を行うことを条件に認められた。

設置されたクリーンボックス
設置されたクリーンボックス

一方、氷見市栄町の新道地区では、自治会と災害ボランティアが協力して災害ごみの片付けを行っていた。

この地区では21日まで、独自に災害ごみの仮置き場を設置し、自治会やボランティア約50人が、災害ごみを指定する処理施設などに運ぶ作業を行った。

氷見市栄町新道地区独自の災害ごみ仮置き場
氷見市栄町新道地区独自の災害ごみ仮置き場

今後は地区の外に避難している住民と連絡をとり、被災した家の災害ごみの片付けをボランティアと協力して行うことにしている。

新道地区自治会 鎌和紀会長
新道地区自治会 鎌和紀会長

新道地区自治会 鎌和紀会長:
「いろんな人の手を借りて、とにかくごみだけは片付けようと。片付くことで、ここに住む人も少しは明るくなると思ってやっている。」

災害ごみの問題は、被災状況や地域によって様々な課題が見えてきた。

復興の足かせとならないようスムーズな処理が行うにはどうすればいいのか。

自治会やボランティアの協力はもとより、県内外問わず、専門業者など民間の力を活用した動きも求められている。 

(富山テレビ)

富山テレビ
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