アメリカ大統領選に向け、共和党の候補者レースでトランプ前大統領(77)とヘイリー元国連大使(52)が一騎打ちの選挙戦を繰り広げた。トランプ氏はヘイリー氏の敗退を予想し批判を強める一方、ヘイリー氏は政治の若返りを訴えている。

トランプvsヘイリー応酬続く

11月のアメリカ大統領選挙に向けた、共和党の候補者レースの第二戦、ニューハンプシャー州の予備選挙を控え、トランプ前大統領とヘイリー元国連大使が、一騎打ちの選挙戦を繰り広げている。

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ニューハンプシャー州の予備選を巡っては、フロリダ州のデサンティス知事が21日に選挙戦から撤退し、トランプ氏とヘイリー氏の2人に候補者が絞られている。

トランプ氏は、ヘイリー氏について“急進左派に支持されている”と批判。「おそらく明日には、候補者が1人(ヘイリー氏)いなくなると思う」と発言。予備選挙で敗北し、選挙戦から撤退すると強調した。

ヘイリー氏は「彼には混乱がつきまとう。あと4年も国の混乱や、世界を火の海にさせてはいけない」と演説。

世論調査でリードするトランプ氏を批判し、「国民はトランプ対バイデンの再戦を望まない」と、世代交代を訴えて支持を呼びかけた。

ここからは、取材センター室長・立石修がお伝えする。11月のアメリカ大統領選に向けた動きが激しくなっている。

今行われているのは、共和党の候補者選びだ。現在、ドナルド・トランプ氏(77)とニッキー・ヘイリー氏(52)の一騎打ちとなっている。今回は、ヘイリー氏について見ていく。

ヘイリー氏は、現在52歳。トランプ政権では国連大使も務めた人物だ。

しかし、今回の選挙戦では、政治の若返りを訴え「75歳以上の政治家には、認知能力の検査を義務付けるべきだ」と発言して物議を醸すなど、トランプ氏への批判を強めている。

また政策では、トランプ氏とは異なりウクライナ支援も明確で、トランプ支持者による連邦議会襲撃も強く批判している。

ヘイリー氏はインドからの移民2世というバックグラウンドを持っており、「ニムラータ」というインド系の名前もあるのだが、トランプ氏はこの名前を取り上げて揶揄するようなSNSへの書き込みも行っていて、“場外戦”も起きている。

共和党にはトランプ氏を追う形で、ヘイリー氏を含め主に8人の候補が立候補を表明していたが、次々と脱落。現在、残っているのはトランプ氏とヘイリー氏のみとなっている。

「これは武器」ファッション戦略にも注目

女性候補はヘイリー氏1人ということで、アメリカのメディアでは、ヘイリー氏のファッション戦略にも注目が集まっている。

国連大使時代などは、きちっとしたスーツ姿だったが、最近の小規模な集会では、セーターにジーパン姿で有権者の中に入っていく姿が目立つ。

ニューハンプシャー州で20日行われた集会では、ラフなパンツにアメリカ国旗が描かれた白いセーターだった。

別の日は、レストランでオレンジ色のセーターを着て、赤ちゃんをあやす様子が見られるなど、有権者とかなり近くで話し、ラフな格好で親しみやすさを打ち出している。

一方、11月にフロリダで行われた大規模な共和党の討論会のような大舞台では、ハイヒール姿で現れ、話題となった。その服装について話が及ぶと「これはファッションではなく武器です」と自ら語っている。

ワシントンポストは、「男の政治家というとスーツに青か赤のネクタイという中で、ヘイリー氏が服装も有効活用している」と評価している。

ただ現在の世論調査では、トランプ氏が大きくリードしている模様で、ヘイリー氏は苦しい戦いになっている。

23日の夜、予備選が行われるニューハンプシャー州の世論調査を見ると、トランプ氏の支持率が54.9%。これをヘイリー氏が36.7%で追う展開となっている。

ヘイリー氏が圧倒的に負ければギブアップする可能性もあるが、これはあくまでも1つの州の予備選挙で、まだ候補者選びは続く。たとえトランプ氏がリードしても、内容次第でヘイリー氏が次のステージに進む可能性はある。

例えばトランプ氏が圧勝といわれたアイオワの党員集会についても、政治調査サイト「ポリティコ」によると、学歴の高い層などにトランプ氏が弱いことが浮き彫りになった。

またニューハンプシャーは、無党派の人たちが多い。無党派層をどこまでヘイリー氏が取り込むかなどが、次のステージに進むカギとなるだろう。ただトランプ氏の勢いは強く、ヘイリー氏は苦しい戦いとなっている。

バイデン氏と戦うと考えると、ヘイリー氏は非常に穏健派であるため、強烈な違いを持つトランプ氏の求心力が目立つ選挙戦となっている。11月の大統領選がどうなるのか、すでに注目が集まっている。
(「イット!」 1月23日放送より)

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