自民党の政治刷新本部が23日に作成し、所属議員全員を対象とした会議に提示された、政治改革に関する中間とりまとめ案が判明した。「派閥の解消と党のガバナンス強化」という項目を立て、派閥の解消を打ち出しつつ、政策集団の形に変われば存続を容認することを示唆した。
中間とりまとめ案では、派閥解消に関して、「お金や人事のための集団のイメージが染み付く派閥から脱却し本来の政策集団に生まれ変わらなければならない」として、政策集団が「お金」と「人事」から完全訣別することがカギだとしている。
その上で、政策集団に関する以下の改革を掲げた。
1、政治資金パーティーの禁止、夏期および冬期の所属議員への資金手当(通称は氷代・餅代)等の廃止、政策集団の活動は党本部で行う等、支出を抑える工夫をする
2、人事に影響を及ぼしていると見られるような働きかけや協議は行わない。若手、女性はじめ多様な人材登用を進める。このことを党のガバナンスコードに明記しガバナンス委員会でフォローアップ。同時に議員の経歴、実績や専門分野などの情報を一元的にプールする仕組みを構築する
3、政策グループにおいて政治資金規正法等の違反が明らかとなった場合、党として審査、事案に応じて一定期間の活動休止もしくはグループ解散を求める
4、政策集団の活動報告及び政策の重点方針等の作成・公表を求める
このように「派閥解消」を掲げ、派閥を政策集団化する改革を打ち出す一方、政策集団の「政治団体化禁止」や、「全派閥解散」といった表現は現時点で盛り込んでいない。
また、コンプライアンスの徹底として、逮捕・起訴等の事態となった議員らの除名など処分厳格化、会計責任者が逮捕・起訴等の事態になった議員を党で処分できるようにする党則改正、議員と会計責任者を対象とした研修などを盛り込んだ。
制度面の改革としては、政治資金の透明化、公開性の向上、責任体制の確立・厳格化、逮捕後の議員報酬のあり方などについて、政治資金規正法改正などの法整備を速やかに行うとした。
岸田首相は23日の、全所属議員を対象とした会議の冒頭で「いわゆる派閥を解消して、真の政策集団に変わっていくためにはどうしたらいいかを議論しなければならない」と述べ、論点として「人事と資金をどう遮断するか」「真の政策集団に変わっていくためのプロセス」「党のガバナンスをどう強化するか」の3点をあげた。
刷新本部では、中間とりまとめ案について党所属議員による詰めの議論を行い、それらの意見を反映した上で、25日に最終決定する見通し。