日本初の月面着陸に成功した、日本の無人探査機「SLIM」の電源が切れたことが分かった。JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、今回のミッションに「ギリギリ合格の60点」という厳しい評価を下した。
月面着陸成功も電池切れ
JAXAは22日、無人探査機「SLIM」の太陽電池による発電が確認できず、バッテリーを切り離したことから、電源が20日午前3時ごろに切れたと明らかにした。

JAXAは「今後月面で太陽光が西から当たるようになれば、発電の可能性がある」としていて、復旧に向け準備を進めている。

また、着陸に関するデータは電源が切れるまでの間に地上に送信し、取得できたということで、データの中に月面上で撮影された画像が含まれていないか、解析が進められている。
「SLIM」は20日未明、日本初となる月面着陸に成功し、世界ではアメリカや中国などに続き、5カ国目だ。

その名前のとおり、小型化されて開発された「SLIM」は、高さが2.4m、幅は2.7m、重さは190kgと軽量化が施されている。実寸大にして見ると、軽トラックより少し大きいくらいだ。

各国の着陸船と比較すると、例えばアメリカの「ペレグリン」は約1.3t、インドが打ち上げた「チャンドラヤーン3号」は約1.7tと、SLIMがかなり軽量化されているのがわかる。
軽量化することで、打ち上げのコストが削減できるだけでなく、スペースも小さくなるため、ロケットに他の観測機が積めるようになるというメリットがある。

さらに、目標の着陸地点からどのくらいの誤差で着陸できるかを示す着陸の精度は、各国の着陸機が数kmなのに対し、SLIMは100m以内とピンポイントでの着陸を達成できたと、会見で明らかにされた。
ミッションは「ギリギリ合格の60点」
なぜ、ピンポイントの着陸にこだわるのだろうか。

JAXAが掲げたプロジェクトスローガンが「降りやすい所に降りるのではなく、降りたいところに降りる」だった。そうすれば、月での探査がしやすくなるという。
今回どの程度の精度で降りたいところに降りられたのかは、データの解析に1カ月ほど時間がかかるという。

着陸には成功したが、その後JAXAの会見では、今回のミッションに厳しい採点が下った。
JAXA宇宙科学研究所の國中均所長は「かなり辛口でコメントせざるを得ない立場ですので、ギリギリ合格の60点とさせていただきたい。太陽電池の発電ができていない状況が確認されています。搭載されているバッテリーで運用がされております」とコメントした。
(「イット!」 1月22日放送より)