元日に富山を襲った震度5強の地震。初めて津波警報が出され、避難を急ぐ住民が開設前の避難所にたどり着き、窓や扉のガラスを割って中に入る事態が多発した。普段の生活と異なるストレスを軽減するために避難生活を想定した初動対応が求められる。

「23カ所で発生」

能登半島地震発生後、富山県内で住民たちが開設される前の避難所の窓やガラスを割って中に入った件数は、各市町村のまとめや富山テレビの取材では、県内で少なくとも23件確認された。

窓や扉が破られた避難所(富山県)
窓や扉が破られた避難所(富山県)
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窓やガラスなどを割ったケースが最も多く確認された富山市の新庄小学校では一時、数百人が集まった。避難した人の中には、地域住民以外の人もいたとみられ、一刻も早く津波から命を守ろうと避難した当時の様子がうかがえた。

富山市 藤井裕久市長
富山市 藤井裕久市長

こうした事態に富山市の藤井裕久市長は1月4日の定例会見で、「窓ガラスを割って(避難所を)開設するのは緊急事態なのでありだと感じているが、窓ガラスを割ることによる大けがも考えられるので、今回のように同時多発的に避難所を開設するときは、オートロックなどのシステムも必要。検討したい」とした。

避難所のオートロックについては、南海トラフ地震に備え、四国や三重県などでは、地震を感知すると避難所の鍵を保管する箱が開くシステムを導入している。

鍵の自動解除ボックスを開発しているエーテックの堀内章社長は「スピーディーに安全・安心が確保できるというメリットがある」と話す。

「避難所に向かう初動対応に課題」

今回の能登半島地震では、避難所に向かう初動対応についても課題が見えてきた。

富山市 藤井裕久市長:
「今回はテレビの第一報を見て逃げてきた人が多い。着の身着のまま逃げてきて、自分で用意できるものを持たずに逃げてきた人が多い。準備はお願いしたいと今後啓蒙しなければならない」

富山県防災士会の村上綾子理事は、地震発生後、初期の段階では、避難所に充分な物資があるとは限らないとして、災害時に持ち出すものを確認してほしいと呼びかけている。

富山県防災士会 村上綾子理事
富山県防災士会 村上綾子理事

富山県防災士会 村上綾子理事:
「阪神淡路大震災のときには、避難所から足りないものを取りに行った先で被災された方もいるので、普段から一度に持ち出せるように、準備をしておくことが大事」

また避難生活が長引いた場合に心配されるのが、普段と異なる生活によるストレスの増加だ。津波発生時は緊急を要するが、日頃から使い慣れているものを持って逃げる意識を高めることが必要だという。

富山県防災士会 村上綾子理事:
「特に小さい子どもや赤ちゃんを育てている方は繊細。使い慣れた物や食べ慣れたものがあることで子どものストレスが違う。防災リュックの中に普段食べ慣れているものを入れておくことが大事」

気象庁は、今後2、3週間は、震度5強程度、それ以上の揺れに注意するよう呼び掛けている。避難所で生活する場合を想定し、いち早く逃げるための対策を講じることが急務となっている。

(富山テレビ)

富山テレビ
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