ネット上に公開された、検事による2018年10月26日の取り調べ映像。
検事が男性に対して、「ガキだよね、あなたってなんかね。子どもが大きくなっちゃったみたいにね」と取り調べの中で話している。

映像を公開したのは、実際に取り調べを受けている元弁護士の江口大和さんとその弁護団。なぜ、検察による取り調べの様子をネット上に公開したのだろうか。
黙秘権主張も…56時間以上の取り調べ中に“屈辱的な言葉”
発端は、弁護士だった江口さんが、2018年に担当した無免許運転による交通死亡事故。

当時、江口さんは、事件の関係者にうその証言を頼んだなどとして逮捕・起訴された。その後、江口さんには懲役2年、執行猶予5年の判決が言い渡され、その後、有罪が確定した。

江口さんは逮捕された当時、黙秘権を主張したものの、起訴されるまでの約20日間、合計56時間以上取り調べを受け、屈辱的な言葉を浴びせられたと主張。
そうした取り調べにより、「黙秘権を侵害された」として、国に損害賠償を求め、訴えを起こしている。
今回、公開された取り調べ映像は、この裁判の口頭弁論で提出されたもの。

検事:
なんなのそれは、黙秘権の行使なんですか。あなたの言っている黙秘権って、全然理解できないんだけど

また、江口さんの弁護士としての能力について、検事は「まさに刑事弁護を趣味でしかやれない人、プロではない。刑事弁護だけでなく、弁護士自体資格はないんですよ。あなたにはなかったんですよ。実感できたでしょ、こうなって。だから諦めてください、無駄なんだから」との言葉を浴びせた。

江口さんは当時の心境について、「供述する意向はないと明言しているのに、取り調べの名のもとに、延々と事件と関係のない罵詈雑言も含めて、取り調べなるものを受けさせられ続けること、このことがまず理不尽でした」と話した。
元弁護士「黙秘権の趣旨に反するのではないか」
映像をネット上に公開した理由については、次のように説明した。

取り調べの映像を公開した江口大和元弁護士:
わたしたちは、取り調べの実態をまず知っていただく。黙秘をする被疑者に対して、取り調べと称することを行うことが、黙秘権の趣旨に反するのではないか、ということを考えていただきたい

一方の国は、検事の取り調べについて「適法」と主張し、裁判で争う構え。
(「イット!」1月19日放送より)