飲食店などで提供されるおしぼり。手を拭くついでに顔を拭くという人もいるかもしれないが、「おしぼりで顔を拭くのは行儀が悪い」というイメージを持っている人もいるだろう。

そんな中、業界初だという顔や体を拭ける“紙おしぼり(ポケットおしぼり)”が、昨年11月末に発売された。その名も「VB-COSME-おしぼり」で、拭くことによって肌の清潔を保つだけでなく、肌を整えうるおいを与える効果があるという。

上段から、「AROMA Premium」(255mm×270mm)100本入り3630円、「AIRY」100本入り2,200円、「HAND&BODY」Sサイズ(300mm×200mm)50本入1870円・Mサイズ(300mm×300mm)100本入3300円・Lサイズ(600mm×300mm)50本入 3300円 ※いずれも税込み
上段から、「AROMA Premium」(255mm×270mm)100本入り3630円、「AIRY」100本入り2,200円、「HAND&BODY」Sサイズ(300mm×200mm)50本入1870円・Mサイズ(300mm×300mm)100本入3300円・Lサイズ(600mm×300mm)50本入 3300円 ※いずれも税込み
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種類は、5種類の香りがある「AROMA Premium」、拭き心地と環境への優しさを追求した「AIRY」、“体を拭く”がコンセプトの「HAND&BODY」の3種。通販サイトのイーシザイ・マーケットで購入できる。

実際に使ってみると…

肌にうるおいを与えるというが、一体どのような使い心地なのだろうか。おしぼりを開発したFSX株式会社に商品を送ってもらい、実際に試してみた。

まずは、「HAND&BODY」のS(300mm×200mm)。手を拭いてみたのだが、生地は厚手でハンドタオル程度の大きさがあり、手のすみずみまでしっかり拭くのに十分だった。そのうえ、アルコール除菌シートを使った時や水で手を洗った時のように、手が乾燥しないのが印象に残った。

次に顔を拭いてみると、刺激がなく、みずみずしい拭き心地でさっぱり。メイク落としの機能はないが、メイクもだいぶ落ちたように思う。アウトドアや飛行機の機内などで顔を洗えない時などにもぴったりだと感じた。

ただし、乾燥はそれほど感じなかったが、たっぷりうるおうというわけではないので、洗顔的に使う場合は化粧水、乳液などのアフターケアは必要かもしれない。

「AROMA Premium」は、シトラール、ペパーミント、ラベンダー、ローズ、ベルガモットの5種。
「AROMA Premium」は、シトラール、ペパーミント、ラベンダー、ローズ、ベルガモットの5種。

「AROMA Premium」は、いずれも優しい自然な香りでリラックスできた。

様々なシーンで役に立ちそうな商品だが、肌がうるおうおしぼりでどれくらい清潔さを保てるのだろうか。また、なぜ、顔や体に使えるおしぼりが「業界初」なのかも気になる。疑問をFSXに聞いてみた。

抗ウイルス効果と化粧品効果を持った特許技術

――「VB-COSME-おしぼり」とはどういう商品なの?

「VB」という特許技術を使って作ったおしぼりです。VBにはおしぼり上のウイルスや菌を99.99%以上抑制する効果があると同時に、人間が本来持っている保湿力を引き出す力をサポートする効果が確認されています。弊社のおしぼりは、仕上げの際にVB水溶水に浸し、VBでコーティングすることにより、衛生力を高めています。そのうえで、「VB-COSME-おしぼり」は、VBのもつ肌に対する効果を全面に押し出した商品となります。


――VBとはどのような技術?

VBは、東京工業大学・慶應義塾大学発の合同ベンチャーと弊社との共同研究から開発された特許技術です(2013年取得)。

VBの主成分となるポリ酸は、金属元素に酸素が結びつき、クラスター構造を形成している物質の総称です。立体構造の違いで、抗がん効果、抗ウイルス効果、抗菌効果などが認められています。もともとは、東工大の先生が抗がん剤として研究されていた技術でしたが、抗ウイルス・抗菌効果の強いポリ酸を選び出し、この技術をおしぼりに利用したものになります。

ウイルスや菌を殺すアルコール消毒とは仕組みが違う?(画像はイメージ)
ウイルスや菌を殺すアルコール消毒とは仕組みが違う?(画像はイメージ)

――VBの抗ウイルス・抗菌効果の特長とは?

ウイルスや菌を殺すのではなく、体内への侵入を防ぐことによって感染を防ぐ点です。仕組みは、VBおしぼりで拭いた部分にVBの膜ができ、ウイルスや菌の侵入を防ぎます。同時に、VBに触れたウイルスや菌そのものもコーティングすることで、増殖を防ぐというものです。

この技術の優れた点は、「耐性菌」を作らないことにあります。ウイルスや菌を直接殺す技術(抗生物質やアルコール殺菌など)では、必ずしぶとい個体が残ってしまいます。それらが増殖すると、より強い薬が必要になる。これが耐性菌問題です。


――もともとは化粧品効果を目的として開発した技術ではなかった?

はい。研究を進めるうちに皮膚にも良いことが確認されました。現在、VBには皮膚に対する抗老化作用が複数あることがわかっているのですが、その中でどれが一番効果があるのかを見極め、どう製品に落とし込むかの研究を進めています。

「顔や体を拭いていい」と言えなかった理由

――ちなみに、「VB-COSME-おしぼり」は「顔や体を拭ける」とのことだけど、従来のおしぼりでは拭けなかったの?

どのおしぼり屋さんも厚生労働省が定めた衛生基準を守って作っているので、顔を拭いても問題ありません。ただ、法律上の縛りがあり、メーカーは「顔に使っていい」と言えなかったのです。

おしぼりは薬機法では、「雑貨」といいうくくりに分類されます。薬機法上、体に使ってよいとされているのは、化粧品、医薬部外品、医薬品等。それ以外のものを「雑貨」としています。

おしぼりは「雑貨」であるため、本来なら体に使ってはいけないことになるのですが、厚生労働省の通達により、「手指の清拭には用いてもよい」ということになっているのです。

そこで、手指以外の体全体におしぼりを気兼ねなく使っていただけるよう、「VB-COSME-おしぼり」は工場や製造方法、成分などを化粧品基準に対応させ、「雑貨」ではなく「化粧品」として登録したので、「顔や体を拭いていい」と言えるようになったのです。

「VB-COSME-おしぼり」の工場
「VB-COSME-おしぼり」の工場

――どんな人におすすめ?

赤ちゃんからお年寄りまですべての人におすすめです。アルコールを使っていないので、肌が弱い人でも安心してお使いいただけます。そのうえで、香りの有り無しやサイズの違いなど用途に合わせて用意していますので、お好みで選んでいただけます。

HAND&BODYのLサイズは600mm×300mmあるので、自由に入浴できないときや、スポーツで汗をかいたときなど、全身を拭きたい方におすすめです。

香り付きのものは、気分転換をしたいときにぜひ使っていただきたいですね。例えば、入院などで外に出られない時や仕事の合間など、またスポーツの試合で気分を切り替えたい時にもぴったりです。

今、石川・七尾市をはじめとした能登半島地震の被災地域へ、約10万本のおしぼりを支援物資として送っています。また、被災地域からの需要があればすぐに対応できるよう、準備を整えています。弊社のおしぼりで、少しでも衛生対策や気分転換のお手伝いができればと思っています。


――「VB-COSME-おしぼり」を通じて伝えたいことは?

おしぼり文化は、手の衛生を保つためだけにとどまらず、使った時にちょっとホッとできたり、気分転換にもなる日本ならではのホスピタリティだと思っています。今後は海外の方にも「おしぼり」という言葉を広げていきたいですね。



これまで「お手拭き」という限定的な用途のイメージが強かったおしぼりだが、顔や体を拭けるだけでなく、肌にもいいのであるならば、様々なシーンで利用できるようになりそうだ。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。