学校再開のめどが立たない石川・輪島市では1月17日、中学生たちの集団避難が始まった。約2カ月にわたり親元を離れ、集団避難する被災地の中学生と、その旅立ちを見守る親たち。それぞれの思いを取材した。
中学生258人が親元離れ集団避難
一年の始まりの日に、能登に住む家族の暮らしを一変させた激しい揺れ。冬休み中だった輪島市内の中学校は、被災住民の避難所となり、再開のめどが立たない状況だ。
そこで、保護者が同意した中学生258人が親元を離れ、100km以上離れた白山市の施設に集団避難することになった。
その一人が、高校受験を間近に控えた中学3年生の小住優太さん(14)。

小住優太さん:
家で勉強しようと思ったら、地震とかにおびえながらやることになるので。それよりは、他のところに行って、みんなと一緒に勉強した方が頭に入るかなと。
時間が限られた中でも、行くと決断した優太さん。父の夏樹さんができることは、愛する息子を信じて、その背中を押すことだった。

父・夏樹さん:
お守りも持っていけよ。
優太さん:
はい。
離れ離れの避難生活 笑顔で送り出すつもりが
そして、旅立ちの朝。

母・淳美さん:
頑張ろうな。元気出しなさいよ。
優太さん:
はい。
集合場所へと向かう車内。しばらくの間途絶える親子の時間を惜しむように、母の淳美さんは言葉をかけ続けた。父はそのやりとりを静かに聞いていた。
近づく別れの時。優太さんの両親はある思いを胸に秘めていた。

父・夏樹さん:
何とか涙なしでいきたいなとは思ってます。笑顔で。
母・淳美さん:
やっぱり笑って送って、笑顔が一番いいので。

母・淳美さん:
あんたも頑張りよ。いいね?
優太さん:
はい。
不安も多い離れ離れの避難生活だからこそ、我が子を笑顔で送り出したい。しかし、母の淳美さんの目には涙が……。
父・夏樹さん:
笑って送るつもりが…。
母・淳美さん:
ちょっと思うところあるよね。

父・夏樹さん:
あんまり緊張せんでいいよ。楽しんでこいよ。
青空のもと、それぞれの思いを胸に旅立った中学生たち。小住さん親子は別れ際にもう一度、固く手を握り合った。

両親:
頑張ってこい。
優太さん:
行ってくらあ!
優太さんは、この集団避難の先に大切な夢を抱いていた。

優太さん:
(地元の)輪島高校に行きたいです。その後、復興を手伝えたりできたらなと思います。
被災中学生を乗せたバスは、17日午後、白山市に到着。これから約2カ月月間、新たな学びの生活が始まる。
(「イット!」1月17日放送より)