いまだ安否不明者の捜索が続く被災地。
元日に起きた能登半島地震は、家屋の倒壊など、甚大な被害を各地にもたらしています。その影響は、本来なら冬の味覚や絶景を楽しめる観光地にも。
「めざまし8」が訪れたのは、金沢駅近くの人気観光地「ひがし茶屋街」。例年ならば多くの観光客が行き交うこの場所も、あまり人の姿が見られません。
茶房「素心」加藤力店長:
ほぼコロナ禍と一緒ぐらい、人がほとんど歩いてないという状態でしたね。（お店のお客さんは）3割減ぐらいなのかなと思います。
郷土料理の押し寿司や、地元の海鮮料理を目当てに多くの観光客でにぎわうというすし店も、お昼時にもかかわらず、お客さんはゼロ。
「金澤寿し」周田重孝代表:
ほぼ9割以上はキャンセルになったっていうのは事実だし、3連休の売り上げが、2万9420円、約3万円です。ですけど、通常であれば連休の1日の売り上げ、だいたい10万円ぐらい。だとすると…十分の一。
中には、キャンセルではなく「行く予定ですが大丈夫ですか？」という電話もあるといいますが、複雑な胸中を明かします。
金澤寿し 周田重孝代表:
「大丈夫ですよ。ぜひ来てくださいね」って言えない状況があるのは現状ですよね。
「来てほしい」と発信していいものか、対応に悩む観光地の人々。
そんな被災地の観光地予約取り消し等について、石川県の馳浩知事は15日、次のように呼びかけました。
石川県 馳浩知事:
観光、こういった活動にも参加いただくことがむしろ、厳しい奥能登の避難地域とは違う状況の中で頑張っている石川県民、石川県の経済をお支えいただくことにもなりますので。過度のキャンセルとならないようにお願いしたいと率直にそう思います。
“建物被害なし”でもキャンセル相次ぐ
さまざまな被害が出ている被災地の観光地。そんな中、建物被害は全くないにもかかわらずキャンセルが相次いでいる場所もあります。
去年、藤井八冠が棋聖戦の対局会場と使用した、新潟市西蒲区にある老舗旅館「髙島屋」。震度5強を観測したものの、地盤が強かったこともあり、建物被害はなかったといいます。しかし…。
髙志の宿「髙島屋」 髙島基子 女将:
（予約）キャンセルの電話が鳴りやまなくなってしまったぐらい。私と若女将2人で電話を取っていたんですが、とにかく2人で間に合わないぐらいの電話の数が入りまして…。
1月入っていた分がなくなったと計算すると、180万円分ぐらいキャンセルになってしまっています。
ホームページなどで「通常営業している」と発信していますが、予約のキャンセルは続いています。
髙志の宿「髙島屋」 髙島基子 女将:
お酒屋さん、魚屋さん、お肉屋さん、私ども旅館が動かないってことになりますと、動かないんですよね。町全体がどんどんどんどん活気がなくなって、マイナスなイメージになっていきますので、それが一番怖いし悲しい。
観光地に“支援” 観光の際の注意点は？
このような観光地に対して、支援を始めている自治体もあります。
福井県では1月9日から2月20日まで、県内の宿泊施設を利用した客に1人1泊あたり1540円分のデジタル地域通貨「はぴコイン」を贈るキャンペーンを拡充。北陸新幹線沿線など10都県だった対象を全国に拡大しました。
能登特産品をオンラインで販売している「能登スタイルストア」では、11日から受注を再開、買うことで支援につながります。
実際に被災地を観光する際はどのようなことに気をつけたら良いのか。石川県に観光の際の注意事項を聞いてみると、以下の答えが返ってきました。
▼宿泊施設には、避難している人・復興支援に来ている人が宿泊している場合があるので、旅行等で宿泊する際はそういった方が泊まっていないか、施設が受け入れる予定があるかなど確認してください
▼被害がないように見える場所でも、道路に地震の影響が出ているところもあるので、注意して車の運転や歩行をしてください
また、石川・金沢市の観光政策課の担当者は「二次避難や被災地支援などで市内の宿泊施設は埋まっている所もあるため、『来て下さい』とは無責任に言えないですが、飲食店や宿泊以外の観光事業者は厳しい状況です。金沢市内の正確な情報を発信していくので、可能な方は飲食店や宿泊以外の観光事業を利用していただきたい」と話しています。
(めざまし8 1月16日放送)
