いよいよ始まった受験シーズン。
13日からは大学共通テストが行われたが、心配されるのが避難所生活を強いられている受験生の食生活だ。
支援物資頼みでは栄養バランスが偏り、感染症リスクが高まる恐れがあるという。
被災した受験生のための“メニュー選び”について、KYBクリニックの金子俊之医師に聞いた。
タンパク質不足は成長に影響
ーー避難所での食事で心配されることは?
避難所ではインスタントラーメンなど日持ちする保存食が中心になるため、タンパク質の不足が心配されます。
短期間であれば糖質を中心としたカロリー摂取で生命を維持する点では大きな問題はありませんが、避難生活が中長期に及んだ場合、成長を考えるとタンパク質不足は非常に懸念材料となってきます。

ーータンパク質が摂れる食材は?
魚や卵、納豆や豆腐、お肉などがタンパク質の代表的な食材ですが、日持ちしないため避難所ではなかなか手に入りにくく、摂取するのは難しいと思います。
タンパク質が摂れないと、子供の健全な成長に大きく影響が出ます。

身長を伸ばすだけでなく、精神面でも健全な発育にタンパク質は非常に重要な役割を果たしています。短期的には問題ないと思いますが、長期間、摂取不足の状態が続くと成長に影響が出てくる恐れがあります。
温かいカレーやシチュー
こうした中、受験生にとって集中力が増し、バランスの良い食事はスパイスの効いたカレーが挙げられると金子医師は話す。

ーー受験生に望ましい食事は?
受験シーズンは非常に寒いので、暖かい食事が好ましいです。
特にテスト前は炭水化物を中心とした食事ではなく、タンパク質や脂質、食物繊維などがバランスよく含まれた食事を取ることを心掛けてください。

炭水化物中心の食事だと、血糖の乱高下を招く可能性があります。
血糖値が上がったり下がったりすると、テストの後半で集中力が切れたり、疲れが出てしまう恐れがあります。
糖質は、脳のエネルギーになるのでもちろん必ず摂っていただきたいのですが、糖質だけだと逆に集中力を乱してしまいます。

ーー具体的にどういったメニューが好ましい?
カレーやシチューなどがお勧めです。
これらは栄養バランスが整っていますし、特にカレーはスパイスの作用によって集中力が増すというデータがあります。
そして、温かい食べ物の方が自律神経が整い集中力も増すので、テストに良い影響を与えるのではないかと思います。
感染や精神面でのリスク
一方、子どもの健康面だけでなく、大人も感染症リスクなど注意が必要だと金子医師は指摘する。

ーー大人への影響は?
短期的には糖質で生命維持が可能ですが、中長期になってくると、タンパク質不足は免疫力低下を招き感染のリスクが上がります。
インスタントラーメンなどの保存食や炭水化物中心の食事だと、栄養のバランスが取れません。そのため免疫が下がり、さらに精神面のリスクなども増し、さまざまな健康上のリスクを上げてしまいます。

ーー食事以外に気を付けるべきことは?
非常に寒い環境や集団生活は感染のリスクを大きく上げます。
十分な安静と横になれる環境で睡眠をとってください。
そしてしっかりと手洗いをして、もし感染兆候のあるような人がいたら、マスクをして距離を取ることが感染対策に必要です。