氷見漁港に本格的な寒ぶりシーズンの訪れを告げる「ひみ寒ぶり宣言」が出され、観光・宿泊業界が書き入れ時となるはずの富山県氷見市。1日に発生した能登半島地震によって宿泊などのキャンセルが相次ぎ損失額は総額1億5千万円に上っている。

「全く県外の人が来ていない」

ひみ番屋街
ひみ番屋街
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氷見市の食文化の発信拠点となっている商業施設「ひみ番屋街」駐車場は、大規模な液状化や路面の損傷が確認されているほか、全館で断水が続き、約30ある店のほとんどが営業できない状態だ。

9日は、土産品や水産加工品を販売する6店舗のみ、時間を短縮して営業していた。寒ぶりシーズンの到来を心待ちにしていた鮮魚店では、ひみ寒ぶりを待つ客からの注文に応えようと水が使えない中でも販売を続けている。

ひみ水産 徳前康宏さん
ひみ水産 徳前康宏さん

ひみ水産 徳前康宏さん:
「これは、氷見寒ぶり。店売りじゃなくて電話の注文だけはやっています。まったく県外の方が来ていないし、これからもしばらく来ないでしょうね。元通りになってほしいが、これからどうなるか予想もつかない。」

能登半島地震で震度5強を観測した氷見市では、一部の地域で断水解消の見通しが立っておらず、ひみ番屋街でも全店舗の営業再開のめどは立っていない。

番屋街を運営する氷見まちづくり株式会社 本多正樹事業課長
番屋街を運営する氷見まちづくり株式会社 本多正樹事業課長

番屋街を運営する氷見まちづくり株式会社 本多正樹事業課長:
「『ひみ寒ぶり宣言』が出たばかりで、楽しみにしてくださった方々がたくさんいた。鮮魚コーナーやレストランでぶりの予約をしていた皆さんにお断りの電話をするのが心苦しく、申し訳ない気持ちでいっぱい」

「旅館にとって水は必要不可欠」

 
 

断水の影響は宿泊施設にも及んでいる。氷見市宇波の旅館「うみあかり」では、地震によって客室の天井や大浴場の壁が崩落するなどの被害を受けた。さらに断水によって水がまったく使えず、1月3日以降、休業を余儀なくされている。

うみあかり 長田卓也総支配人
うみあかり 長田卓也総支配人

「水がないと、魚も洗えないし部屋掃除もできない。温泉のシャワーも出ない。旅館にとっては必要不可欠。カニも出番なく終わってしまった。お正月用に仕入れたが、そのまま水槽に…」

正月用に仕入れたカニ
正月用に仕入れたカニ

旅館は1月14日まで休館とし、1月の宿泊のキャンセルは約1900人、損失額は3400万円に上るという。

うみあかり 長田卓也支配人:
「今年は特に、コロナ禍も明けて人の動きも活発になってきて、年末に『ひみ寒ぶり宣言』も出て、もっと忙しくなるだろうと見込んでいたにもかかわらず、こういったことになって非常に残念。3月以降、北陸新幹線が敦賀から金沢まで延伸する。そういったプラスな面もあるので頑張りたい」

「県内44の施設で1万人以上がキャンセル」

県内160の宿泊約施設が加入する県ホテル・旅館衛生同業組合によると、地震による宿泊や食事のキャンセルは、11日までに、44施設で利用者1万1050人。損失額は総額1億5千万円に上っている。

(富山テレビ)

富山テレビ
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