2024年初めて行われた富山グラウジーズのホーム戦。被災地支援のため募金活動の先頭にたったのは、甚大な被害が出た石川県輪島市に家族がいる練習生。被災地に行きたい気持ちを抑え、募金活動で声を張り上げた。我々に今できることとは…プロスポーツチームがもぎ取った「執念の勝利」

「チームのためにできることを…」

募金活動を行う富山グラウジーズ 高岡大輔HC(左)、通訳兼練習生 酒井達晶さん(中)、水戸健史選手(右)
募金活動を行う富山グラウジーズ 高岡大輔HC(左)、通訳兼練習生 酒井達晶さん(中)、水戸健史選手(右)
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募金活動を行う3人:
「募金よろしくお願いします」

1月8日、男子プロバスケットボールBリーグ、富山グラウジーズ対横浜ビー・コルセアーズの試合前、富山市総合体育館では、両チームの選手やスタッフが、能登半島地震の被災者支援のために募金活動を行った。

募金する来場者(右)と富山グラウジーズ 通訳兼練習生 酒井達晶さん(左)
募金する来場者(右)と富山グラウジーズ 通訳兼練習生 酒井達晶さん(左)

何度も頭を下げながら懸命に募金活動を行っていた、富山グラウジーズ通訳兼練習生の酒井達晶さん。家族が石川県輪島市で被災した。

通訳兼練習生 酒井達晶さん:
「お父さんの実家があり、輪島というところなんですけど被害が大きくて、命に別状はなくてよかったが(祖父母は)避難所生活を余儀なくされているので、そこの部分が自分としても苦しい。自分たちができることは限られていて、被災地へ行きたいという気持ちもあるが、募金活動で協力をあおぐことやチームのために自分のできるベストをやることだと思っている。」

「チームも被災…それでも」

富山グラウジーズも被災した。3日に予定していた練習は体育館が使えなくなり中止に。4日は使用できる県内の体育館を探し、なんとか練習を行ったという。

富山グラウジーズ 高岡大輔ヘッドコーチ
富山グラウジーズ 高岡大輔ヘッドコーチ

2011年、仙台のチームで東日本大震災を経験した高岡大輔ヘッドコーチは試合前「バスケットができるのは普通のことではない。周りの支えがあって僕らがある」と選手たちに伝えコートに送り出した。

5000人を超えるブースターが会場に駆けつけた8日の試合、中地区最下位のグラウジーズは今季2戦2敗の横浜と互角に渡り歩いた。同点で迎えた試合時間残り8秒。ファウルを受けたグラウジーズがフリースローを決め逃げ切り、会場は大歓声に包まれた。

試合後、高岡ヘッドコーチは被災地に思いを寄せた。

「何秒でもいい。気晴らしになれば…」

高岡大輔ヘッドコーチ:
「(被災者は)現状をどう生きていくか必死だと思う。僕らが元気与えるとか勇気与えるとかおこがましいと思っている。僕も避難所をまわったことがあるので、その人たちがふと自分たちの気が休まった時に携帯などで僕らの結果を見てくれたりする何秒でもいいので気晴らしになってくれたらと切実に思っている」

自分たちにできることは何なのか…自問自答を繰り返しながら試合を決断したグラウジーズ。これからも一致団結し、プレーで被災地を鼓舞していく。

(富山テレビ)

富山テレビ
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