能登半島地震から1週間。気象庁によると1週間で震度1以上の地震を1200回以上観測した。普段と違う状況で子どもたちもストレスを抱えている。震災直後の子どもたちには2つの大きな変化がみられるという。大人はどう関わったらいいのか、心療内科医に聞いた。

「地震のストレスでみられる2つの変化」

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地震の不安やストレスから、被災した乳幼児から小学生くらいの子どもには、「甘えが強くなり赤ちゃん返りをする(できていたことができなくなる・言葉が出なくなる・だっこを求める)」や「落ち着きがなくなり暴力的になる(ワガママになる・駄々をこねる)」という2つの変化がみられるという。

真生会富山病院心療内科部長 明橋大二医師(ZOOM取材)
真生会富山病院心療内科部長 明橋大二医師(ZOOM取材)

真生会富山病院心療内科 明橋大二医師:
そういうときはなかなか自分で気持ちを言葉にできないので、「不安だったんだね」「余震が続いて怖いよね」とかそういう気持ちを言葉にしてかけていくと落ち着いてくるんじゃないかと言われてますね

「否定せず受け止めて」

真生会富山病院心療内科 明橋大二医師:
東日本大震災でも避難所で「地震ごっこ」をしたりするということで、大人から見ると不謹慎だとかこんなこと遊びにしなさんなって言っちゃうんですけども、しかし子どもはその遊びを通じてトラウマを癒そうとする、そういう働きがありまして。そういう行動を遊びの中に取り込むことによってなんとか不安をコントロールしようとするというか心配ないんだっていうことを自分に言い聞かせようとしている、そういう行動だと言われているのであんまり否定しない方がいいというふうに言われています

2011年東日本大震災発生時の避難所
2011年東日本大震災発生時の避難所

明橋医師は、お絵描きでも真っ黒に塗りつぶした絵を描いたり、怖い絵を描いたりすることがある。しかしその行動も子どもたちの表現であるため、大人は「そんな絵を描くな」とか、「もっと楽しい絵を描きなさい」と否定せず、子どもの気持ちを一緒に受け止めることが大切だと話す。

「メディアとの接し方に注意を」

テレビなどで今後もしばらく繰り返し放送される災害の映像。明橋医師は、子どもたちに頻繁に見せないよう注意を呼びかける。

真生会富山病院心療内科 明橋大二医師:
災害のニュースとかテレビとかそういう情報をあんまり頻繁に見せるのはよくないと言われています。子どもによって受け取り方はそれぞれなんですけれども、特に敏感な子どもとかは家が壊れた映像を何度も見ると本当に自分の家もこうなるんじゃないかと。子どものケアとして大事なのは、ちゃんと状況を説明するということ。子どもは何が起きたかわかんないし、家族もみんな死んじゃうんじゃないかとか。まあもちろん色んな心配はあるんですけども、なるべくなら子どもに安心させるような言葉がけをしてもらいたい

明橋医師は「不安なのは大人も同じ。眠れなくなったりイライラしたりする。大人も誰かに相談するなど心のケアを大事にしてほしい」と話していた。ひとりで抱え込まずに、こんなときだからこそ自分にも周りにも優しく過ごせたらと思う。

(富山テレビ)

富山テレビ
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