「荷物を取り出さないでください」
「開けてください。早く出してください」

2日夕方、羽田空港で着陸した日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機が衝突・炎上した事故。衝突直後、乗客が撮影した日本航空機の機内の映像には、指示を出す客室乗務員の声や、脱出したい乗客の悲痛な叫び声など記録されていた。

また、海外メディアは“奇跡の脱出”などと伝え、乗客乗員を称賛している。

白い煙が広がる機内…窓の外には炎

衝突直後に乗客が撮影した映像。

「早く出してください」

衝突直後、白い煙が広がる機内…
衝突直後、白い煙が広がる機内…
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白い煙が広がる中、客室乗務員の声と乗客の声が響く。

別の映像には、窓の外の炎とともに、混乱する様子が…。

「座ってください」

「飛行機、動いているの?」
「動いてない」

「開けてください。早く出してください」

指示を出す客室乗務員の大きな声とともに、子どもの悲痛な叫び声が聞こえる。

「早く出してください」

「荷物を取り出さないでください」

「早く出してください。開ければいいじゃないですか。お願いします」

乗客は事故発生直後の機内の様子をこう話す。

乗客:
着陸した衝撃の後にバンっていう音がしたのだけ分かって、すぐ同時に火が上がっているのが見えた。

乗客:
火が出てきて熱が入ってきて、すぐ横だったので熱かったです。

乗客:
煙がすごかったので、喉が煙のせいで痛くなった。正直言うと、すごく怖かったです。

消防が炎上する航空機の消火にあたるが炎の勢いは収まらず、衝突から約1時間後…。

衝突から約1時間後…機体は真っ二つに折れ、焼け落ちていった
衝突から約1時間後…機体は真っ二つに折れ、焼け落ちていった

機体は真っ二つに折れ、焼け落ちていった。

事故の影響で羽田空港発着の177便が欠航、3万6000人以上に影響が出る見通しだ。

“奇跡の脱出”海外メディアが称賛

この事故で、日航機の乗客は15人がケガをしたものの、乗員を合わせた379人全員が無事脱出した。

関係者によると、脱出完了までにかかった時間は、事故発生から約18分。海外メディアは“奇跡の脱出”などと伝え、乗客乗員を称賛。アメリカのCNNテレビは、「クルーは素晴らしい仕事をした」「乗客がルールに耳を傾け従う点は本当に素晴らしかった」などと報じている。

確かに事故直後の映像では、客室乗務員の指示に従っているのか、混乱して席を立つ乗客の姿は確認できない。

その後の取材で、当時、日航機の客室乗務員らは、8カ所ある脱出口のうち5カ所から炎を確認したため使用を断念。残りの3カ所から脱出することを決めたことが分かった。

しかも、機長の指示が出るインターホンが使えなくなっていたため、機内後方にいた客室乗務員は、自らの判断で脱出用シューターを出していたという。

乗客は、脱出までの客室乗務員の行動をこう振り返る。

乗客:
一生懸命、日本航空の方が「落ち着いてください、大丈夫ですよ」と声をだされていた。

乗客:
相当頑張ったと。相当っていうか、もうあれ以上はできないんじゃない?訓練をちゃんとされてないと、こんなには動けないんじゃないかと思いました。

この事故で、海保の航空機に乗っていた5人が死亡、脱出した機長の宮本元気さんは重傷を負った。

宮本さんは事故直後の聞き取りに対し、「管制官から離陸許可が出たため滑走路に進入した」などと説明したという。一方、日航機の機長も「着陸許可を得ていた」と説明していて、双方の主張は食い違っている。
(「イット!」1月4日放送)