車の安全性などを確認する国の認証試験で、30年以上にわたり不正を行っていたことが明らかになったダイハツ。25日で工場を停止させる予定だ。部品工場など、関連のある中小企業への影響が心配されている。大阪の町工場からは、「売り上げが下がり、大変だ」という声が聞こえている。

大阪府八尾市にある、ダイハツで使われる部品の熱処理加工をしている二次下請けの会社では…
理化工業 森嶋勲社長:
売り上げ全体からすると(ダイハツ関連は)2パーセントぐらいです。(月額で)150万円ぐらい。急に2パーセント仕事がなくなった分を他で補おうとしても、そう簡単にすぐにできるものではないので、それは大変です。(2パーセントが)復活するものだと信じていますけれど、一時的には大きなことです。

また、ダイハツに機械を提供しているメーカーは、不正について「人材育成の未熟さ」があったのではないかと話す。
フルテック株式会社 古田直吉代表取締役:
数字と時間に追われていってしまっているという現場がどんどん押し迫ったときに、結局、はしょってはいけない部分をはしょってしまったりとか。そうなってしまう原因としては、技術者が育ってこれなかった空白の期間が生まれてしまって、それが原因で対処がうまくできなかったり、間違った対処の仕方をしてしまったがために、起こってしまったような問題が、今回に至ってるのかなというのは、外からの目で感じる部分はございます。
ダイハツは関連する取引先に補償するとしているが、「全てに対応するのは難しいため、一次下請けなどにも協力してもらい、補償を行いたい」としている。
■工場で働く人は「休みの期間だからこそできることがある」

またダイハツの京都・滋賀・大分の工場は先週までに車の生産を停止していて、本社がある大阪・池田市の工場は25日で停止する予定だ。ダイハツによると、2024年1月中は稼働しないことが決定。国内の工場では約8700人が働いていて、停止後は部品整理などの業務を行う方針となっている。
(Q今回のことを聞いてどうですか?)
工場で働く人:
聞いたときはびっくりしましたね。不正が30年以上前から行われていたということが。
工場で働く人:
休みの期間だからこそできることがあって。もっとこうしていったほうがいいとか、作業の見直し期間という感じなので、出勤はするような感じですね。
■「再発防止を徹底していただきたい」とダイハツ正規販売店

一方、不正が明らかになって初めての週末。ダイハツの正規販売店では、不正の発表以降、自分の乗っている車は大丈夫なのかといった問い合わせ電話の対応に追われた。
ダイハツ正規販売店 店長:
メーカーのこういうような不正があって、ご心配な、ご不安な気持ちもすごく分かりますので、ディーラーとしても申し訳なく思っています。
工場での生産が停止することを受け、この販売店では、現在、新車の販売は行っておらず、点検や車検の対応を行っている。
もともと点検の予定があり、店を訪れたダイハツ車のユーザーは…
来店客:
子供が乗るので、試験とかはちゃんとしているのかは非常に気になるところではあります。僕が乗っている車自体は何もひっかかるところはないということだったので、その部分では安心はしました。
また、すでに登録済で納車待ちの車に関しては、顧客に納車するかどうか意思を確認しているという。
ダイハツ正規販売店 店長:
『納車もしてもいいよ』というお客様もいらっしゃいますし、もちろん『こんな車は受け取れない』というようなお客様もおられます。 (Q今後メーカー側に求めることは?)生産が再開されるのであればお客様に安心して乗っていただけるような車を作っていただきたいので、再発防止を徹底していただきたい。
車のユーザーや製造に携わる人、そして部品会社など幅広く影響が出る恐れがある今回の不正発覚。経済産業省は、近畿経済産業局に企業向けの相談窓口を26日にも設置した上で、関連企業などへの影響調査も行い、必要な対策を講じる考えだ。
(関西テレビ「newsランナー」2023年12月25日放送)