5月20日、大阪・ミナミを舞台にした恐喝事件で、無職の男(26)ら男女8人が逮捕された。
容疑者らは去年11月、大阪・ミナミで20代の男性からおよそ1000万円を脅し取った疑いがもたれている。
警察によると逮捕された女と被害にあった男性はマッチングアプリで出会い、直接会う事に。
女が男性を”バー”に誘い込み、飲み放題込みで5000円と説明しておきながら、会計時に「頼んだ酒は飲み放題料金とは別料金」と言い放ち、24万円を請求。
その後も「店の営業が止まっている」などと因縁をつけ、合計およそ1000万円を脅し取ったということだ。
問題の”バー”は、実際には容疑者グループがネット予約したレンタルスペースだった。
■「大学生みたいな子たちで、まさかとびっくり」
事件のあったレンタルスペースのオーナーは、容疑者グループのことを「横柄な対応もなく、敬語で挨拶していた普通の若者」と振り返り、「まさか犯行グループだったとは思いもよらなかった」と語った。
予約は事件前日に利用目的は「合コン」となっている。
(Q.誰の名義で予約していた?)
【事件のあったレンタルスペースオーナー】「●●という名前でした。僕も捜査協力したんですけど、その名前はいなかったので、おそらく偽名だろうと」
バー形式のレンタルスペースは、酒瓶が並ぶカウンターや間接照明が備わり、一見すると本物の店舗と区別がつかない。
こうしたスペースはインターネット上で手軽に予約でき、仲介企業によると年々増加しているという。

■「飲み放題の看板があった、疑う余地がなかった」
今回の大阪の事件にとどまらず、同様の手口による被害は各地で報告されていることが取材で明らかになった。
関西テレビ「newsランナー」が独自取材した愛知県の20代男性も、その一人だ。
男性は去年、マッチングアプリで知り合った女性と2カ月間連絡を取り続け、初めて会う日を迎えた。
店を自分で探そうとしましたが、女性にはぐらかされ、「たまたま見つけた」という店に連れていかれた。
入り口には飲み放題の看板とメニュー表。店内には従業員らしき男が1人。「飲み放題3000円」と説明を受け、何の疑いも抱かなかったという。

女性が提案したのはトランプの神経衰弱。負けたらお互いにドリンクを飲むルールで、小さなコップで次々と飲み続けた。合計20〜40杯。男性は「飲み放題だからいいか」と思っていたと言う。
そして突然、従業員らしき男が…。
【従業員とみられる男】「お客さんお会計大丈夫ですか?それ一杯あたり2500円ですよ」
【女性】「お会計いくらですか?」
【従業員とみられる男】「42万円」
男性はATMに連れていかれ、用意できた24万円を支払った。女性も「私も出す。親のところに行ってお金取ってくる」と言い、その場を離れた。

ふと冷静になった男性は、飲んだ量と金額が合わないことに気づき、警察に相談して現場に戻った。
しかし、入店時にあったはずの看板は消え、そこはただのレンタルスペースだ。
その後、従業員らしき男から届いたメッセージには「お連れ様のお父様とお連れ様が残額をお支払いされましたので、残額は一切ありません」とある。
実態のない”店舗”を使い、周到に被害者を丸め込む手口の巧妙さが際立つ。

■なぜレンタルスペースが悪用されるのか
ぼったくりバーの内情に詳しい関係者によると、「ミナミ中心地の地価はここ10年でおよそ2倍に上昇し、ぼったくり目的の店舗を構えるだけで「初期費用が400万円近くかかるケースもある」という。
家賃も10年前の2倍以上となり、固定の店舗を持つこと自体が難しくなっているということだ。
レンタルスペースであれば初期費用はほぼゼロ。人員さえそろえばルーム代だけで犯行を始められるのだ。
さらに、弁護士法人プロテクトスタンスの大橋史典弁護士はこう指摘する。
【弁護士法人プロテクトスタンス 大橋史典弁護士】「固定店舗で継続的にぼったくりを行えば、いずれ警察の摘発を受ける。しかしレンタルスペースを使えば”その場限りの営業”となり、警察が摘発しにくい構造になっている」

■身を守るための対策
レンタルスペースを仲介する「スペースマーケット」では、過去に同様の手口で被害に遭ったといい、事業責任者の山崎彩世さんによると、利用者の本人確認、不正利用者の利用制限基準などのルールを強化しているということだ。
大橋弁護士は身を守るための対策として、「行く店を事前に相手から聞き出し、インターネットで検索する」ことを勧めます。レンタルスペースであれば、通常の店舗のように検索結果に表示されないことが多いという。
(関西テレビ「newsランナー」2026年6月1日放送)

