ダイハツによる認証不正問題の影響が続く中、不正問題の舞台裏や親会社トヨタトップの動向、そして今後の見通しなど、自動車評論家の国沢光宏さんに聞いた。

■企業風土が原因でこの問題が起きた

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ダイハツの不正どう受け止めているか?
自動車評論家 国沢光宏さん:
車というのは命を乗せるものなので、安全が最優先されるべきです。それがコストとか時間とかそんなことが、上に来てしまうということで、これはもう、あってはならないことです。

ダイハツの企業風土の問題はどうなのか?
自動車評論家 国沢光宏さん:
企業風土の問題がおおいにあると思います。ダイハツの企業風土が原因で、こうなっていると言ってもいいくらいです。

■ダイハツの企業風土は「何をやっても怒られる、何も言えない会社」

ダイハツはトヨタの100%子会社だが、国沢さんによると、ダイハツの不正が発覚したとき、トヨタトップに注目の動向があったという。国沢さんの取材によると不正発覚時、トヨタの豊田章男会長は滋賀工場を訪れ、従業員の前で「この中に告発者がいらっしゃると思います。本当に言ってくれてありがとう」と発言したということだ。

このトヨタトップの言葉をダイハツの従業員はどう受け止めたのだろうか?
自動車評論家 国沢光宏さん:
第1回目の、4月の不正発覚の時の出来事です。この話には少し前後があります。トヨタという会社は、非常に風通しが良い会社で、車の開発中に車を壊しても、『どんどん壊せ、壊すだけ、それだけいい車ができる』と言うそうです。また自らの仕事の評価についても、丸ではなく『それは完全にできたのか』と振り返り、『三角ぐらいの方がちょうどいいぐらい』という風土なんです。なので、そのようなつもりで、ダイハツの告発した人に対しても『告白してくれてありがとう』と、本当に言ったと聞きました。ダイハツはびっくりしたらしいです。

ダイハツにはそういう考え方はなかったのか?
自動車評論家 国沢光宏さん:
ダイハツは非常にトップダウンで、何をやっても怒られるそうです。一度怒られるとなかなか反論できなくなってしまうので、だんだんだんだん何も言えない会社になっていったと言うことです。

これまで30年間も不正を行ってきて、今まで声が上がらなかったのも不思議な話だ。

■「元の経営を尊重した結果」不正の発覚が相次ぐトヨタグループ

ダイハツの他にも、このところトヨタグループでは不正が相次いでいる。トヨタグループの日野自動車は去年、排ガスや燃費のデータの改ざんが発覚した。2023年3月には、豊田自動織機でフォークリフトのエンジンの劣化耐久試験で不正が明らかになり、5月には愛知製鋼でエンジンなどに使われる鋼材の一部で規格外の製品を出荷していた。

そして12月、ダイハツは認証試験の不正が174件に及ぶことを発表した。どうしてグループ内で不正が相次いでいるのだろうか?
自動車評論家 国沢光宏さん:
企業をやったことない人は分からないと思いますが、経験のない会社を買収して100%子会社にするということは、その元の経営を尊重します。なので、ズカズカ入っていって、あれこれやらないというのが、日本の大体の形です。トヨタもその企業に対して、ズカズカ入ってあれこれと偉そうなことをしなかったというのが、逆に仇になってしまったということです。今回の問題でトヨタは大々的に入っていき、抜本的に変えると言っています。

■トヨタがダイハツの抜本的改革に乗り出すか

このダイハツの不正に対し、豊田会長はこんな風に述べたという。
「抜本的な改革が必要。遠慮する必要はない!」

具体的にはどのような行動に移すと思われるか?
自動車評論家 国沢光宏さん:
まずトップは当然ながら、今の人は6年間トップやって、だめだったわけですから、厳しいと思うので新しい人をトップにすると。それから、もっと改革できるようなポジションの人を入れて行くと思います。(トヨタ主導でダイハツの抜本的な改革を行われていくことになるのでしょうか?)もう、それしかないと思います。ダイハツ独自で改革することはできないと思います。今回もメディアへの発表も全く行っていないし、トヨタは問題発覚の翌日から連日レクチャーしているのですけど、ダイハツは25日になってやっと1回ほどメディア対象の話をしたぐらいです。

■生産再開の見通しは? 「1月末ごろ再開もあり得る」

気になるのはダイハツの生産がいつ再開されるのということだ。国沢さんによると、「1月末ごろに生産再開もあり得る。車種ごとに安全性が確認され次第か」という。

1月末ごろから生産再開ができるのか?
自動車評論家 国沢光宏さん:
ダイハツは1月いっぱいは無理だと言っています。それはなぜかというと、国交省がOKを出さないといけません。国交省はやはり安全ではない車にOKを出すわけにはいかないので、徹底的に調べます。さらにTUVという、欧州の認証機関のデータと照らし合わせて、問題ないと判断したところから、工場の再稼働の許可を出していくと思います。それがいつになるか分かりませんが、いろいろな社会事情を考えると、1月中に再開もありえるのではないかなと思います。ここは国交省の判断となります。

取材で関連企業は生産再開の行方を気にしている。
関西テレビ 神崎報道デスク:
自動車産業はすそ野が広くて、部品会社や二次下請け、三次下請けがあって、本体は1月まで工場の稼働が止まっていても、何とか経営はやりくりできるかもしれませんが、二次下請け、三次下請けの会社になると資金繰りが難しくなると思うので、国が資金繰りをサポートする支援策というのがいると思いますし、実際に、日野自動車の排ガス不正の時には、経産省がやってきたことがあるので、そのような例を含めて検討すべきだと思います。

(関西テレビ「newsランナー」2023年12月25日放送)

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