2023年は、エネルギー料金や物価の高騰に泣かされた1年だった。秋田県内では、日常生活に欠かせないガソリン価格が過去最高値を更新するなど、消費者をはじめ、幅広い事業者に大きな影響を与えた。

過去最高クラスの高騰で各事業者に影響

車社会の秋田での生活には欠かせないガソリン。県内のレギュラーガソリンの平均小売価格は、7月の第2週に1リットルあたり170円台になり、その後も上がり続けた。

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8月28日の調査では182.2円で、15年ぶりに過去最高値を更新した。翌週の9月4日には184円と再び最高値になった。以降はしばらく値下がりに転じたものの、「高止まり」の現状は変わらない。

家庭で消費するものやサービスの値動きを見る消費者物価指数も、1~10月まで右肩上がりだ。いずれの月も前の年より2~5ポイントほど上昇していて、様々な値上げが家計をいかに圧迫しているかがわかる。

過去最高クラスの物価高騰に泣かされた2023年、影響は幅広い事業者に及んだ。

湯沢市に本社を置くクリーニング店「仕上屋」の高橋友広社長は、「中に入って回っている液体が石油系の溶剤。高騰しています」と話す。

水洗いできないデリケートな衣類の汚れを落とすドライクリーニング専用の溶剤は、石油が原料だ。価格は1リットルあたり223円と、4年前の約1.3倍にまで値上がりしている。毎日20リットルほど使用するため、かなりの出費だ。

さらに、仕上がった衣類に被せるビニール袋やハンガー、機械を動かすための燃料となる灯油など、この他のものも値上がりしていて経費がかかり増しになっている。

農業用ハウスで冬取りのアスパラガスを生産する横手市の農事組合法人も、燃料費の高騰に頭を悩ませている。

アスパラガスは寒さに弱いため、農業用ハウスと地中の温度を暖かく保つ必要がある。
これまでは土の中にパイプを通して、ボイラーで温めた湯を循環させていたが、土の中に埋めたパイプでは熱伝導に時間がかかり、ボイラーの燃料である灯油代もかさむため、パイプを土の上に出すという対策を講じた。

収穫は年明けからで、少しでも使用する灯油を減らして燃料代を節約したい考えだ。

コストを抑えて物価高騰に抵抗する店も

一方、由利本荘市の本荘総合地方卸売市場の一角に店を構える「鶴賀屋」は、物価の高騰の波にあらがっている。野菜や果物などの仲卸を手掛けていて、秋田市やにかほ市のスーパーに品物を卸すのが主な仕事だが、一部を直接販売している。

ホウレンソウが1袋85円、小松菜は1袋50円と、店頭に並ぶ商品の値段は一般的なスーパーの約2割引きだ。消費者の手元に届くまでに関わる業者の数が最小限で、手数料や輸送費などのコストを抑えられるのが安さの秘密である。

毎週土曜は特売日。いつも以上にお値打ちの品が並ぶとあって、多くの買い物客でにぎわっていた。

買い物客:
週一くらいで来ている。安さ、すごいです。助かります。離乳食も始まって野菜を使うので高いと困る

買い物客:
初めて来た。友達から聞いて、「連れて行って」って。きょうやっているかしらと来たら、こんなに安いと思わなかった。安いから買ってしまった。ついつい

どの客も商品の鮮度と安さに驚きを隠せない様子だ。
鶴賀屋では今後、新たな設備を導入する予定で、さらに幅広い商品がお得に手に入る場所になりそうだ。

鶴賀屋・羽田竜一社長:
2024年の春ごろに少し売り場を作って、冷蔵設備を入れてリニューアルオープンしたいと思っている。欲しいものがあったら何でも言ってほしい。こちらでそろえます

終わりの見えない物価の高騰。やりくりしながら賢く乗り切る必要がありそうだ。

(秋田テレビ)

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