ダイハツ工業の不正を巡り21日朝、大阪府池田市の本社に国土交通省が立ち入り検査に入った。今回の不正では、ダイハツ車のユーザーや、カーリース店からも心配の声があがっている。
コスト削減や短い開発期間での成果など現場へのプレッシャーが誘因か…
ダイハツは安全性を確認するための衝突試験などで、新たに174件の不正が行われていたことが判明していて、今後、試験データの確認や関係者への聞き取りが行われる。

ダイハツの奥平総一郎社長は20日、記者会見した。
ダイハツ工業の奥平総一郎社長(12月20日):
自動車メーカーとして、根幹を揺るがす事態であると大変重く受け止めております

ダイハツは2023年度の軽自動車上半期販売数2位のタントや、4位のムーブなどの人気車種を含め、国内外全ての64車種で出荷の停止を決めた。

奥平総一郎社長:
今回、認証を軽視していると指摘されても仕方がない不正が行われております。その行為を生み出す環境を作った責任は経営陣にあります
奥平社長は、社内に不正を生み出す環境があったと説明した。
調査を行った第三者委員会も報告書で…。
「絶対に合格しなければならない」「不合格は許されない」という、まさに一発勝負の強烈なプレッシャーに晒されながら業務を行っていた
などと記載していて、コスト削減や短い開発期間で成果を求められた現場にプレッシャーがかかっていたと指摘した。

ダイハツの従業員:
もっとちゃんと下の人たちのことを考えてくれたらよかった
国内で出荷停止となる対象には、親会社のトヨタ自動車向けに生産しているルーミーやライズなど8つの車種も含まれている。

20日の会見には、トヨタ自動車の中嶋裕樹副社長も同席した。
トヨタ自動車の中嶋裕樹副社長:
トヨタグループは残念ながら完璧な会社ではございません。間違ったことがあれば立ち止まり、ごまかさず、ウソをつかず、誠実にその事実に向き合い、必要な時にはすぐに公表し、説明し、共有させていただきながら進めていく
今回の問題はダイハツだけでなく、トヨタグループ全体への信頼を大きく揺るがしている。

新車が納車されたばかりという男性は…。
納車されたばかりの男性:
命に関わることに関しては手を抜いてほしくなかった
ダイハツの車で配送を行っている男性は…。
ダイハツ車で配送を行う男性:
試験をやってないと思うと怖いところはあります。配送業は安全運転が大事なので
愛知県は2022年度、軽乗用車の新車登録台数が全国トップだった。

各メーカーの新車を貸し出しているカーリースの専門店「オート・エース春日井店」では、貸し出す300台以上のうち約1割はダイハツの車だ。

今回の問題でダイハツの新車は全車種が出荷停止になり、トヨタやマツダ、SUBARUの一部も対象となったことで、今後、車種の選択肢が狭まることになる。
オート・エース春日井店の佐藤聖社長:
点検に来られたお客さまが「大丈夫なの?」って声はありましたね。車業界に対する不信感を、一般のお客さまは多く持たれていると思います。車は命を預かっているものなので、メーカーさんの方もきちんとした対応をしてほしい
ダイハツはリコールについても国交省の判断に従うとしていて、新車の出荷再開の時期は未定としている。
(東海テレビ)