ダイハツ工業 奥平総一郎社長:
今、市場でですね、そのことによる事故があったとか、問題が発生したというような情報は、まったくございませんので。自分としては、今まで通り安心して乗っていただければというふうに強く思っております。

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軽自動車市場で3割のシェアを誇る「ダイハツ工業」で明らかになった、車の安全に関わる認証試験での不正問題。

調査していた第三者委員会によると、認定した不正は174個にも及び、一番古いものでは1989年、実に30年以上前から行われていたといいます。

この問題を受けて、ダイハツはすべての車種の出荷を停止するという“前代未聞”の事態に。購入者だけではなく、販売代理店やレンタカー業者など影響が拡大しています。

「他の車種に」「もういらない」広がる波紋

ダイハツ車の販売代理店:
まあ本当、正直言って、いらんことしてくれたなと。
実際に(車を)納めた先からも、注文先からも電話が鳴りっぱなしで。発注していたお客さまもキャンセルしたいと。「他の車種に変えたい」「もういらない」と。そういう声が来ていますね。

「めざまし8」の取材に対してそう話すのは、ダイハツ車の販売代理店です。注文のキャンセルや問い合わせが殺到しているといいます。

ダイハツ車の販売代理店:
きのう納めたばかりの車にも、“タント”があったんですけど、「俺の車、大丈夫なの?」と。やはり皆さん心配しますよね。

――そのタントは大丈夫?
いや、おそらく引っかかってるでしょう。ダイハツさんからどういう対応していいのかどうか、その辺の内容も来てないので、私たちも対応の仕方がわからないんですよ、正直。

さらに、年末年始、需要が高まるレンタカー業界にとっては、営業への影響も…。

都内のレンタカー会社:
年末年始で借りる人も多くなってくるが、ダイハツの車は遠慮したいなど、今後影響は出るかもしれない。

レンタカー予約サイト運営会社:
ダイハツ車の借り控えが起きる可能性はある。大手はダイハツ以外も扱っているが、ローカルの小さな会社などは、影響が出るかもしれない。

174個の不正…命を守るエアバッグにも

新たに発覚した174個の不正。この内訳は、エアバッグのタイマー着火など、不正加工・調整類型が28個、試験結果の虚偽報告など虚偽記載類型が143個、データの差し替えなど元データ不正操作型が3個です。

あまりにも多くの不正行為に、自動車評論家の桃田健史氏は「とにかく前代未聞」だと話します。

桃田健史氏:
とにかく前代未聞ですね。過去にも燃費不正等々問題ありましたけど、ここまでの数が、なおかつ30年以上前から長期的にわたっていると。第三者委員会の話だと、それだけではないだろうと…彼らが掘り起こしただけでこれなので、かなり根深い大きな問題だと思いますね。
一般の方たちに、非常に普及している軽自動車、あるいはコンパクトカーといわれるものでも、トヨタブランドで売っているものは非常にダイハツ生産が多いです。普通の人たちの生活にちゃんと安全で認証は通っている、とおっしゃってはいますが、普通の方が心配するのは当然ですね。

桃田氏が最も悪質だと感じた不正は、人気車種「ムーヴ」の「側面衝突試験時・エアバッグを不正に起動」という項目です。

資料:タントの側面衝突試験
資料:タントの側面衝突試験

通常、衝突した瞬間に電子制御によってエアバッグが作動します。

しかしダイハツは、認証試験の際、自力着火式のエアバッグが開発されていない段階だったため、衝撃ではなくタイマーで作動するよう設定したといいます。

桃田健史氏:
言語道断ですよね。ものが間に合わないからタイマーで開かせましたというのは、開発者の安全性に対する認識がまひしていると思います。彼らのとってのゴールは認証を通ることであって、安全性を担保することではないとなっている。

岩田明子氏:
おっしゃるとおりで、本末転倒ですよね。人の命を守るための検査なのに、タイマーでやっていたら、ほとんどいかさまと同じですので、人命をどう考えていたのかというところは厳しく問いただしたいと思います。
どの業界にも言えると思うんですけど、ノルマの維持と安全性の維持、人命とか健康とか人の命に関わるものに直結するもののクオリティーを下げてまで、販売を伸ばそうという方針をいつから取り始めたのか。本来、日本の企業は、安全・信頼できるよねというところがすごいブランドだったと思うんですが、いつから踏み外したのかというところを、徹底的に検証しなくてはいけないと思いますし、仮にリコールとかが起きたら、誠実に迅速に対応して、徹底的に膿(うみ)を出していかなくてはいけないと思います。

国土交通省は、21日に大阪にあるダイハツ本社に立ち入り検査を行う予定です。
(めざまし8 12月21日放送)