自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。

「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

お正月をおじいちゃん・おばあちゃんの家で過ごしている小木(こぎ)さん一家のココロちゃんとマナブくんきょうだい。初詣に行ったり、テーマパークに遊びに行ったりと、出かける所がいっぱい!でも、帰る時間になってパパとママが困ってしまったのが…。

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“あまのじゃく”になっちゃうのには理由がある?記事の続きをチェック!
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「お出かけを楽しんでいたはずの子どもたち。帰り際に『楽しかった?』と聞いてみると、なぜか『つまんなかったよ』と答えが…これって本音?それともあまのじゃく?」

お正月は、パパママが企画していろいろな所に遊びに行く!という人も多いはず。でもそんな楽しい一日の終わりに「今日は楽しかった?」と聞いてみると、なぜか「つまらなかった」と答えちゃう子どもたち。とっても楽しんでいたように見えたのに、これではパパママもちょっと「うーん」と思ってしまいそう。

楽しい時間は、家族みんなで楽しいまま終わりたい!子どもたちの「つまらなかった」は、本音?それとも何か理由があって“反対のこと”を言っちゃうの?育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。

「親の注意を引きたい」気持ちの現れのことも

――「楽しかった?」に「つまらなかった!」、こう答えちゃう理由は?

理由は様々あると思いますが、まず考えられるのは、素直な感情を出すことが恥ずかしい・抵抗がある・慣れていない、などです。大人も含め、本心を出したがらない人は意外と多いように思います。私の相談室でもこのようなお悩みをお聞きすることはけっこうあります。その際、多くの方が「うちの子、あまのじゃくなんです」という言葉を用いられます。

性格的にもともと気難しいお子さんはいるので、そういうタイプの子は返答にひねりを加えてしまうことがあります。あとは、「楽しかった?」→「楽しくなかった」と答えると、相手の注意を引けることを経験で知っていて、あえて裏返しのことを言っている子もいるはずです。
「楽しくなかった」なんて言われてしまったら、親の方も「なんで?」と問いたくなりますよね。その反応が、その子の「ボクを見て」「ワタシをかまって」という欲求を満たしてしまっているわけです。

あとは、その日の大半の時間は楽しかったけれど、ほんのちょっとイヤなことがあった、こんな状況でも起こりうる反応です。遊園地で過ごした時間のどこに着目するかはその子それぞれなので、楽しい時間が真っ先に来る子もいれば、アイスを落としてしまったこと、暑かったこと、長い時間待ったこと……などの“イヤだったこと”を実際より大きく捉えてしまう子もいます。後者の場合、言葉としては「つまらなかった」が出てしまうこともあり、親からしたら「がっかり」ですが、少なくとも本音の一部ではあると言えます。厳密に言えば、「つまらないことやイヤなことが少しだけあった」という部分否定のはずが、その子の視点で大きくも小さくもなるということですね。


――「本当に楽しめなかった」わけではないのに、逆のことを言ってしまう…これは何歳くらいまで見られるもの?

その子のもともとの性格、あとは「注目されたい」という承認欲求も絡んでいるので、ある年齢でスッキリ消えるとは言えませんが、段々と社会性が身につくことで緩和されていくと考えられます。小学校半ばになり「こう言ったら相手がどう思うか」というような客観的な物の見方が成長してくれば、こういう場面で「楽しくない」と言うのは望ましくはない、ということに気づきやすくなるはずです。

一方で、上でも触れたように、大人でも実際の思いと逆のことを言ってしまうことはあるものです。とくに自分にとって近い人(夫や妻)の前だと素直になれないことはあるのではないでしょうか。人間の心のややこしさでもあるので、子どもに対しても100%の解消は期待しない方が現実に合った見方と言えるでしょう。


――せっかくのお出かけ、子どもに「楽しくなかった!」と言われてしまったら…どう対応するのが良いの?

親としては、家族みんなで心から「楽しかった」と言いたい。だからこそ「楽しかった?」と聞きたくなってしまうのですが、ここまでで触れたように、その子の特性としてなかなか素直になれないことはあるものなので、聞いてがっかりするよりは、聞かないというのも選択肢の1つだと思います。「楽しそうだったのは明らかなのだから、それでいいじゃない」ということですね。

もし、それでも子どもの方から「楽しくなかったアピール」をしてくる場合は、薄い反応にするのも有効だったりします。「楽しくなかったアピール」をすることで、もしママ・パパが大きく反応してくれれば、それは成功例としてインプットされ、次回同じような場面で「またやろう」となりやすいからです。自分が示している反応が、もしかしたら次の引き金を引いているかもしれないということですね。

もしこれを読んで、「ちょっと大きく反応し過ぎてたかも」と感じたら、「楽しくなかった」→「そっか。ママは楽しかったよ」という風に自分の感じ方は出しつつ、子どもに「どうして?」と問うのは控える。このようなあっさりした対応にしてみるのもいいと思います。

どこに行こうか、どんなプランなら子どもたちが楽しめるか…アレコレ考えたお出かけの最後に聞きたい「楽しかった!」の言葉。子どもたちから「つまんなかった」と言われてしまったら、パパママもつい「じゃあもうお出かけしない!」と言いたくなってしまう気持ちになってしまうこともあるだろう。

そんな時は「どこが楽しくなかったの?」と問い詰めたり落ち込んだりせずに、「パパママは楽しかったよ」と伝えたり、そもそも「楽しそうだったな~」と心の中でニヤリとするにとどめるのもいいかも。せっかくのお正月、子どもたちと楽しく過ごすための参考にしてほしい。

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※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。

(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。