こう寒くなってくると、温かい飲み物でひと休みしたい…。でも「猫舌」で、アツアツのものがすぐに飲めない。そんな悩みを解決してくれそうなアイテムが話題になっている。

それが株式会社ドウシシャが2023年11月に発売した「猫舌専科ボトル」。このボトルにアツアツの飲み物(約95度)を入れると、約3分で温度が約70度まで低下。その後は1時間ほど「飲みやすい温度」をキープするという。

ちなみに、同社の「真空二重ボトル」に飲み物を入れた場合は、1時間経ってもボトルの中の飲み物は注いだ時とほぼ変わらない、約95度をキープ。6時間ほど経ってようやく70度近くまで下がったという。

3分で飲みやすい温度まで一気に冷ましたあと、しっかり保温もするという「猫舌専科ボトル」。保温性のあるタンブラーなどに飲み物を入れてしまうと、いつまで経っても飲めない、かといって保温性のない普通のマグカップなどに入れてしまうと、あっという間に“冷え冷え”になってしまう。そんな悩みを持った猫舌の人に嬉しいアイテムといえそうだ。
実は、ドウシシャでは過去に「猫舌専科タンブラー」「猫舌専科マグカップ」という2種類の“猫舌向け”アイテムを販売しており、今回の「猫舌専科ボトル」はその第3弾だという。

「猫舌専科ボトル」の重量は約440g、容量は330ml。通常価格は3,828円(税込)で、ドウシシャの公式オンラインショップや量販店などで購入できる。
猫舌の人に絞ったアイテムだが、「すぐに冷めて温度をキープ」できるのは、どんな仕組みなのだろうか?ドウシシャにお話を聞いた。
通常のボトルより「1枚多い」ステンレスがポイント
――「猫舌専科シリーズ」を開発したきっかけは?
社員に猫舌の人がいました。社内のコーヒーメーカーでコーヒーを保温保冷可能なステンレスタンブラーにいれると、長く温度を保つのはいいのですが、なかなか温度が下がらず、蓋をあけて1時間くらいたってやっと飲める程度でした。
一方、紙コップやマグカップだとすぐ飲めるのはいいのですが、ちょうどいい温度帯を過ぎるのも早くて、電話や作業をしている間にいつの間にか、ぬるくなってしまっていました。そんな気づきから「猫舌の人専用のタンブラーはできないか」というところが、「猫舌専科」シリーズ開発の起点でした。
社内の営業からは「ステンレスタンブラーは温度を保つのが役目だから、温度を下げてまで飲む人はいない」と最初は反対ムードでしたが、当時の開発担当が押し切って発売することになりました。
2020年に発売した猫舌専科タンブラーは、すぐにTwitter(現X)で話題になり、一気に拡散されました。基本的には室内で使うことを目的としており、完全密閉するタイプではなかったので、発売当初から「持ち歩きたい」「密閉タイプが欲しい」という声があり、今回猫舌専科ボトルを発売することになりました。

――「すぐに温度が下がる」「下がった温度をキープできる」構造について教えて
一般的な保温保冷可能なステンレスのタンブラーやボトルは、ステンレス2枚で真空層を挟み込む構造です。一方、本製品はステンレスを通常より1枚多い、3枚使っています。外側に配置された2枚は保温保冷のための真空層を挟んでいます。その内側に吸熱材をもう1枚のステンレスで挟むという独自構造のタンブラーです。
吸熱材が熱々(約95度)の飲み物を3分で飲みやすい温度に下げ、そのあとは吸熱材の吸熱する力がなくなり、外側の真空層で温度をキープしてくれます。

――「猫舌の人が飲みやすい温度」はどんな風に決めたの?
猫舌の人というものは一般的に定義があるわけでもないですし、猫舌の人が飲みやすい温度というのも定義されていません。なので、社内で「自称・猫舌さん」を集めて、どの温度なら飲めるのか、という社内実験をしました。その結果、65~70度近辺であれば飲めるという結果が分かり、当社の中で決めました。

――「猫舌専科」シリーズの反響について…
2020年にタンブラーを発売してから、毎年人気の製品です。最初はTwitterでバズって知ったという方も多いですが、そのあと「使いやすい」ということでどんどん口コミで広がっています。

――今後も猫舌の人が使いやすいシリーズは展開していく?「猫舌専科シリーズ」の展望について教えて
猫舌専科シリーズはON℃ZONE(オンドゾーン)というブランドで展開しています。そのブランドは温度変化で驚きを与えるということをコンセプトにしています。今後も、何か温度変化で驚きを与える製品を展開できればと思います。

実際に猫舌だという人の悩みが開発のきっかけとなり、さらに猫舌の人たちが集まって実験したという「猫舌専科」シリーズ。同じ悩みを持った人が作ったこの便利アイテム、猫舌に悩んできたという人は一度試してみても良さそうだ。
(画像提供:株式会社ドウシシャ)