数年前から増加している「サポート詐欺」。パソコンの画面に警告表示が現れ、修理費をだまし取られる悪質な詐欺だ。広島県内の被害額は11月末時点で、2022年の2倍ほどに膨れ上がっている。その手口に迫った。

詐欺を防いだコンビニ店舗に感謝状

11月、広島県の大竹警察署で行われた感謝状の贈呈式。コンビニで電子マネーカードを購入しようとした高齢女性を説得し、詐欺を防いだとして店舗が表彰された。

11月、広島・大竹市の大竹警察署にて
11月、広島・大竹市の大竹警察署にて
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その高齢女性は、パソコンがコンピューターウイルスにかかったとして高額の電子マネーを買うように指示されていた。

サポート詐欺を防いだコンビニ店員:
本当に詐欺が身近にあるんだなというのと、お客様が被害に遭わなくて良かった

今、増加傾向にある「サポート詐欺」。インターネットの使用中に警告画面に切り替わり、表示された番号に電話をかけると相手からパソコンを修理するための電子マネーなどを要求されるというもの。

パソコンから大きな警告音が鳴る場合もあり、焦って犯人グループに言われるがままコンビニで電子マネーを購入してしまうケースが後を絶たない。広島県内では2023年11月末時点で42件、約2680万円ものサポート詐欺被害が発生。すでに2022年1年間の被害数を超えている。

ビービービーと大きな警告音が鳴り…

広島市内に住む会社員の寺本昭彦さん。サポート詐欺に遭った被害者だ。突然の出来事に冷静ではいられなかったという。

寺本昭彦さん:
ビービービーというすごい警告音が出て、画面に「ウイルスにかかったのでここに電話してください」っていうようなメッセージが書いてあったので、そこに電話してしまった

実在する会社の名前をかたっていたため、寺本さんはメッセージを信じてしまった。画面に表示された番号に電話をかけると…

寺本昭彦さん:
「ウイルスにかかっています。除去するためにはこういうサービスがあります」と案内されました。電話の声が女性の片言だったので、そこでおかしいと思わないといけないんですけど、信用してしまって…

海外の会社ということもあり、片言の日本語をあやしいと思わなかった寺本さん。すぐに電子マネーを要求された。

寺本昭彦さん:
ウイルスを除去するためのサービスに1年、3年、5年の期間があって、3年はいくら、5年はいくら、それで無制限が8万ということで「無制限で8万円のサービスをお願いします」と言いました

サポート被害に遭った寺本昭彦さん
サポート被害に遭った寺本昭彦さん

指定された電子マネーカードをコンビニで購入。自宅に戻ると電子マネーのシリアルナンバーをパソコンの内蔵カメラに映すよう指示された。その後、上司をかたる男性が電話を代わる。

寺本昭彦さん:
「番号を見せてください」って言われ、それを見せたら「確認取れましたので」って

「エラーが出る」何度も電子マネー要求

しかし、それだけでは終わらなかった。犯人グループは「エラーが出る」などと言い、追加で電子マネーカードを買うように求めてきた。

この手口が巧妙なのは「エラーが出た分は返金する」と被害者に伝えていること。寺本さんもその言葉を信じ、8万円の電子マネーカードを4回購入。計32万円分をだまし取られてしまった。手元の現金がなくなったとき、寺本さんは初めてあやしさを感じた。

寺本昭彦さん:
今、お金をおろせないので明日にしてくださいと言うと、相手の口調が変わってきましたね

そして「警察に相談する」と言ったとたん、相手の態度がひょう変。

寺本昭彦さん:
私が「もう切らしてもらいます」って言ったタイミングで、相手は「バカやろう」と

寺本さんはすぐに警察へ相談。しかし、32万円もの大金をわずか2時間あまりで失ってしまった。

寺本昭彦さん:
パソコンを早く直さないといけないという心境になって、詐欺だと考えることができなかった

今もお金は戻ってきていない。しかし自身の経験を詐欺防止に生かそうと、広島県警のサイバー防犯ボランティアとして活動している。

警告画面が出たら「X」ボタンで閉じて

パソコン使用中に、もし警告画面が表示されたらどうすればいいのか。

広島県警 減らそう犯罪情報官・井原秀貴 警視:
表示された連絡先に絶対に電話をかけないことで被害を防ぐことができます

いったん電話をかけてしまうと、巧妙な語り口にだまされてしまう人がほとんど。

広島県警 減らそう犯罪情報官・井原秀貴 警視:
この手口の場合、パソコンは実際にはウイルスに感染していないことが多いため、警告画面の右上の「X」ボタンを押して画面を閉じましょう

広島県警 減らそう犯罪情報官・井原秀貴 警視:
もし閉じる「X」ボタンを押しても警告画面が消えないときには、キーボードの左上のエスケープキー「Esc」を押してから閉じる「X」ボタンを押す。あるいは、作業中のデータが失われてしまう可能性がありますが、パソコンの電源を長押しし、強制終了させるといいと思います

片言の日本語を話す犯行グループが被害者に名乗った名前もわかっている。

広島県警 減らそう犯罪情報官・井原秀貴 警視:
広島であれば、圧倒的に「マイク・ミラー」が多いんですが、そのほかにも「ウィリアム」とか女性であれば「リー」という名前が多いという特徴がありますね

誰もが被害に遭ってしまう可能性のある「サポート詐欺」。警告画面が出たら、落ち着いて対処することが何より大切だ。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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