マスクをしたまま目元だけで認証

NECは自社が開発した技術を活用し、新しい生活様式のニーズをとらえたシステムの実証実験を13日から社内で始めた。

オフィスの入り口では社員証をかざすことなく、あらかじめ登録された顔のデータで入ることができる。

NECでは、すでに4年前から目や口の位置など顔全体で認識するシステムを導入していたが、今回、目元だけで認識できるシステムに変更。新型コロナウイルス対策で必需品となった、マスクに対応した。

顔認証と同時に体温も測定

この技術は、オフィス内の店舗でも。従来の顔認証システムを改良し、入り口でマスクをしたままの利用者を特定し、ゲートがオープンする。

オフィス内の店舗

手に取った商品は自動で判別され、自動決済される。レジを通さないので、店員とは接触しない。

ジェスチャーと顔認証で開くロッカーも

また、オフィスに設置されたロッカーは手を動かし顔認証すると、開くようになっている。

ジェスチャーで預け入れや受け取りの操作をし、暗証番号などの入力も必要ないため、タッチパネルに触れることなく荷物の出し入れができる。こうした技術について、NECは2021年春までに社外にも提供したい考えだ。

顔認証で開く扉

技術開発後のマーケティングが日本の課題

三田友梨佳キャスター:
このニュースに関しては早稲田大学ビジネススクール教授で、かつてソニーで商品企画にも携わっていた長内厚さんに話を伺います。長内さんは新たな日常に対応するためのこうしたテクノロジーをどうご覧になりますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
マスクをしていても認識するのは結構難しい技術なんです。顔認証は一般的に赤外線を使って顔のいろいろなパーツを読み取るんですけど、マスクは赤外線を跳ね返しちゃうので、読み取れるパーツが減っちゃうんですよね。こういう難しい技術は実はコロナのような困難な時こそどういう問題を解決すればいいか、何が今問題なのかというのがクリアになるので、問題点を精鋭化させてイノベーションが促進されるということがあるんです

三田友梨佳キャスター:
まさにそういったメリットがある一方で、課題というとどんなところが挙げられますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
日本の企業はこういった技術開発は得意なんですが、その先のビジネスやマーケティングが弱い。むしろ技術の解決策だけを世の中に出して、海外のメーカーがそのアイディアで成功しちゃうというのがあるんです。例えば、昔ソニーが液晶テレビにLEDバックライトとか量子ドットとか新しい技術を入れていったんです。こういう話は難しくてわかりにくいじゃないですか。こういうのを韓国のサムスン電子は「LEDテレビ」とか「QLEDテレビ」のように、これは新しいテレビだと分かりやすい技術ブランドを付けて浸透させて、アメリカで成功したりするんです

三田友梨佳キャスター:
わかりやすいですね。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
そうなんです。携帯電話でも日本はすごい技術を作っていたんですけど、結局日本でもアップルがシェアをとっている状態が起きているわけです

三田友梨佳キャスター:
そうした中で日本の企業としてはどんな工夫や戦略が求められるんでしょうか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
顔認証はまさにコロナ時代の防犯の新しいビジネスチャンスだと思います。
商品や技術を作っておしまいではなくて、むしろビジネスはそこから始まるんです。ビジネスやマーケティングのスキルを高めていく、これが日本の課題だと思います

三田友梨佳キャスター:
テクノロジーが進化し続ける中で、日本の技術が今後ビジネスとしてもさらに普及することを期待したいと思います

(「Live News α」7月13日放送分)