自民党の安倍派で、政治資金パーティーによる収入の一部が裏金になっていたとされる疑惑について、番組コメンテーターでジャーナリストの鈴木哲夫さんに聞いた。

忘年会や新年会も自粛を徹底

6日午後、岸田首相は全ての派閥のパーティーを当面自粛することを指示した。また自民党・緊急幹部会合が開かれ、派閥パーティーだけでなく、忘年会や新年会も自粛を徹底することになった。

鈴木哲夫さん:
かなりピリピリしてますよね。自民党では、無派閥もいますが、ほとんどの人が派閥に入っています。派閥に入っているとポストをもらったりいろんなこともあるけど、お金の支援もやはり一つあるわけです。その派閥自体が今、これだけ問題になってるので、どこまで捜査の手がのびるのか、かなりピリピリしています。

 パーティー収入の一部が裏金になっていたしたら、その裏金は何に使われていたのだろうか?

鈴木さんは「裏金という表現が良いのかという問題はありますが、実質的に皆さんの目から見て裏金に見えますよね。裏金とはどういう意味かというと、『裏で使うお金』『表に出ないお金』という意味です。そういう使われ方をしたと考えるのが自然です」と話す。

鈴木哲夫さん:
例えばプールされたお金ですが、実は事務所費なんかもすごい大変なんです。事務所維持や私設秘書の給料とか、政治活動にも俗にいう裏金が使われる可能性もあると思います。これまでの特捜の調べでは、一部は例えば選挙の時なんかに使われているんじゃないかと、そのような話も今出てきていると聞いてます。だから裏金が一体何に使われてるかということも、これからの捜査のポイントになってくると思います。

東京地検特捜部 捜査のポイントは?

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東京地検特捜部の捜査のポイントは、鈴木哲夫さんによると、国会の会期を終えた12月14日から、次の国会が始まる約1カ月間で、安倍派の元事務総長らを事情聴取するのではないかということだ。今、裏金疑惑について事務総長経験者は明言を避けている状況だ。

鈴木哲夫さん:
実際に特捜が事情を聞いているのは、派閥の中でも事務を担当している事務方の人から事情を聴いている。検察OBなどを僕は取材したんですが、結構実態を話しているみたいなんです。そして事務方の上に今度は国会議員で事務の責任を持つ役目の人がいて、それが派閥の事務総長といわれる人たちになります。問題になっている期間で安倍派の場合は下村氏、松野氏、西村氏、高木氏の4人です。

鈴木哲夫さん:
今、国会開会中なので議員の事情聴取というのは控えているんだけど、国会が13日に終わって、14日以降に裏金が組織的に行われていたんじゃないかということで、事務総長たちに対して任意で事情聴取に入るんじゃないかと。そうすると、この人たちの責任や、立件されるのかどうか、すごく大きな山になってきます。

 ーー立件は難しいのだろうか?

鈴木哲夫さん:
過去にはあります。事務総長クラスが政治と金の問題で立件されたことがあるので、今回そこまで行くかどうか。まさにその捜査の本格化というのが14日以降となります。

「ノルマがね…貧乏人には大変」

では、自民党は今後どうなるのだろうか?桜田義孝元五輪担当大臣が「ノルマがね…貧乏人には大変」と発言し、二階派を退会したことを明かした。

鈴木哲夫さんによると、今後自民党で派閥を抜ける議員が増える可能性もあるということだ。このような動きが広がると、派閥の弱体化が進むことになるのだろうか?

鈴木哲夫さん:
派閥批判になりますから、派閥は辞める。派閥に行ってもあんまりポストも回ってこなくて、メリットもない。岸田首相がいずれ退陣という動きに今なってきてますよね。「ポスト岸田は派閥色のない人にしよう」というふうな動きが出てきたりしているわけです。だから“派閥と自民党”というのが非常に大きなテーマになってくると思います。

これから捜査が本格化するということだが、疑惑のままで終わらず、真実が明らかにされることになるのだろうか。

(関西テレビ「newsランナー」 2023年12月6日放送)

関西テレビ
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