肌寒いこの時期、温かいコーヒーが特に美味しく感じるのではないだろうか。

しかし高齢者の中には、飲み込む力が弱く飲んだ時にむせてしまうという人もいる。そんな不安のある人でもコーヒーを楽しんでもらえるようにと、コメダ珈琲店を運営するコメダがとろみが付いた粉末のインスタント「とろみコーヒー」を発売している。

とろみコーヒー(画像提供:コメダ)
とろみコーヒー(画像提供:コメダ)
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加齢で飲み込む力が弱くなると、サラサラした飲み物はうまく飲みこめなくなり、むせてしまったり、気管に入って肺炎を起こす危険ものあるのだそう。

今年10月からは介護用品のカタログにも掲載

この「とろみコーヒー」は、とろみが付いているためゆっくりのみ込めてむせにくいのが特徴。1箱15袋入り(1袋6.3gで1杯150ccのコーヒー)で、値段は1900円(税込)。2022年11月に公式オンラインショップなどで販売を始め、今年10月からは介護用品のカタログにも掲載されている。

とろみコーヒー(画像提供:コメダ)
とろみコーヒー(画像提供:コメダ)

とろみコーヒーは歯科医師で嚥下機能を研究する朝日大学歯学部の谷口裕重教授、石光商事とともに、2年半の開発期間を経て生まれたものだ。使用しているコーヒーはコメダ珈琲店と同じ「アラビカ種」、とろみ調整剤は湯で溶かした時にダマになりにくく、コーヒー本来のおいしさを邪魔しないものを採用したという。

飲み込む力が弱くなってしまい、コーヒーを敬遠していた人には嬉しい商品だろう。では、実際、購入者からどんな声があるのか?また、とろみコーヒーのニーズに手応えを感じているのか?

コメダの開発担当のマーケテイング本部長・伊藤弥生さんに詳しく話を聞いた。

きっかけは介護職員からの相談

――開発のきっかけは?

コメダでおいしいとろみコーヒーを作ってくれないか、という介護職の方からの相談がきっかけでした。高齢化が進む中、飲み込む力が弱くなる方は年々増えています。そんな中、ひとりでも多くの方にいつまでも安心して飲んでいただけるコーヒーをお届けしたく開発しました。


――開発する中で苦労した点は?

「おいしい」にこだわった点です。コメダ珈琲店が販売するとろみコーヒーだからこそ、おいしさには、とことんこだわりました。普通のインスタントコーヒーにとろみ剤を入れると、コクや苦みが逃げてしまいます。コーヒー本来の味わいを楽しんでいただくため、何種類ものコーヒーを試作し、いくつものとろみ剤の組み合わせを試しながら、コメダ珈琲店の味に近づけていきました。


――市販のインスタントコーヒーとの大きな違いは?

とろみがついているので冷めにくく、ゆったりとくつろぎの時間を楽しめます。

購入者「簡単に美味しく作れてうれしい」

――「とろみコーヒー」は高齢者でなくても楽しんでいいの?

飲み込みに不安のある方はもちろんですが、どなたでも、新食感のコーヒーとして楽しんでいただきたいと思っています。


――購入者の感想は?

飲み込みに不安を感じられているお客様や、そのご家族様から、簡単に美味しく作れてうれしいといったお言葉をいただきます。

(画像はイメージ)
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――とろみコーヒーのニーズに手応えは感じている?

2022年の販売以来、ありがたいことに様々なメディアや医学系学会などから問い合わせをいただいております。今回、とろみコーヒーの開発を通じ、飲み込みに不安があるという理由で、外食そのものを諦めている方が多いこと、そして飲みたい、食べたいという思いが、「生きたい」という思いのきっかけになることを知りました。

外食の中でも、コーヒーとともに“くつろぎ”の場所を提供する我々としては、飲み込みに不安をお持ちのお客様も、安心してコメダ珈琲店でコーヒーを楽しみ、“くつろぎ”の時間を過ごしていただくことに繋がれば重畳(ちょうじょう)です。


――今後、販路はどのように拡大していく?

現在はコメダ公式オンラインショップはじめ通販サイトでの販売が中心ですが、介護用品のカタログへの掲載など、販路を徐々に広げております。将来的には、全国のコメダ珈琲店でのメニュー提供、物販販売を目指しています。



購入者から喜びの声も届いているとろみコーヒー。これからも飲み込む力が弱い高齢者を喜ばせるような商品開発を期待したい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。