埼玉県議会で2023年10月、自民党県議団が提出していた、子供だけでの留守番などを放置による虐待と定める「虐待禁止条例」の改正案に反対意見が相次ぎ、取り下げられた。「子供を1人にする」ことについて、各国の考えや施策について調べた。

アメリカでは子供を1人にしない「厳しい目」

埼玉県の「虐待禁止条例」について、県議会の答弁によると改正案では「子供だけで公園で遊ばせること」「小学3年生以下の子供たちだけで登下校させること」も条例違反に。「自宅に子供を残してゴミ出しに行く」「子供だけでおつかいに行かせる」ことも違反にあたるとされていた。

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子供が安全な生活のために活動する「NPO法人 Safe Kids Japan(セーフ・キッズ・ジャパン)」の山中龍宏(たつひろ)理事長は「社会インフラや環境整備が不十分な状態でこの条例案を出したことは“拙速”」だとしている。

「子供を1人にすること」について、外国の対応は様々だ。

アメリカでは「子供を放っておくことができる法定年齢」について、メリーランド州が8歳、オレゴン州が10歳、イリノイ州が14歳と定められている。また、一部の州では法律はないものの、子供を放っておくのが適切な時期について、ガイドラインがあるということだ。

実際にはどのように対応しているのか、かつて「12歳」の年齢制限があったニューヨーク州のことについてよく知る山中理事長は、「子供を1人で放置することは犯罪であるという考えを、アメリカは社会として持っていた」と指摘している。

山中理事長はニューヨークでは「子供の置き去り防止」に関して、社会インフラが整っていたという。例えば子供が飛び出して車にはねられることがないよう、「スクールバスが止まっていると後ろの車は追い越してはいけない」というスクールバスが最優先というルールがあるということだ。

また、登下校時には厳しい監視の目もあるという。山中理事長は「学校から自宅に帰るのは3つの方法しかない」と話していて、1つは通学バスの様なものに乗せるときには大人がきちんと確認する。降ろす時も自宅の前で降ろして、保護者が出てきている人にきちんと渡す。2つめは自家用車の場合はもちろん運転手の顔を正しく知っていて、学校側が確認して乗せて帰す。3つめは学童の様なものに行く子供は警察が見守る中できちんとと連れて行く」ということだ。

厳しい監視の目は登下校時に限らず、山中理事長の知人の女性は、子供の友達を自宅に送った際に相手の親から予想外の反応があったという。

山中龍宏理事長:
玄関の先で子供を下ろして、それで帰ってきたと。(その後)家のご主人から電話があり「どうもありがとう」って言われるんだと思ったらすごく怒っていると。「何で親の自分にきちっと子供を、親がいるところで手渡さなかったのか」と。アメリカなんか銃器によるいろんな殺人事件が多発しているので

家の前から玄関までの間で子供が襲われるかもしれないのに、なぜ子供を1人にしたのかと父親が激怒したそうだ。

山中龍宏理事長:
やはり子供1人にするってことは危険度が高くなる。社会全体で認識する必要があるわけですよね

子供を置いて外出する場合はベビーシッターを雇っていて、中には中学生や高校生など「学生のベビーシッター」に依頼することもよくあるという。

州にもよりますが13歳からできるところもあり、一般的だということだ。

イタリアでは14歳未満の子供の放置をすると「懲役刑」

イタリアでは、14歳未満の子供を放置すると懲役刑に処されるなど、法律で厳しく定められている。

子供を取り巻く環境についてイタリア在住の中山久美子さんは、「どこへ行くにも親が小学生を送り迎えすることが常識」で、親は自分の時間が持ちづらく、2人の子供を持つ中山さんは「送り迎え地獄」と話している。

中山さんは共働きで「祖父母」を頼りにしているということだが、頼らないと祖父母に怒られるほどで、送り迎えをしたり、遊び相手になったりしてくれているそうだ。

また「ママ友」も必須で、中山さんの周囲では強い絆があり、とにかく子供を1人にさせないことを徹底しているということだ。イタリアの治安があまり良くないことが背景にあるようだ。

「子供の服が汚い」オーストラリアでは通報義務も

オーストラリアでは法律はないものの、南東部に位置するビクトリア州では“子供の様子を見る目が厳しい”ということです。

この州で子育てを経験した、オーストラリア在住の鈴木ビバン美穂さんは、車の事故や誘拐を防ぐため、子供の送り迎えや遊ぶ時などに親や身内が一緒なのは常識だと話している。

学校で子供の制服が汚いとか、お弁当を持ってこないとか、子供の面倒をよく見ていないなっていう状況を察知した場合には子供の安全を守る団体「チャイルドプロテクション」という機関に連絡しなくてはならない義務があるほか、いつも怒鳴っていたり親が子供に暴力をふるっているのを見た場合は、近所の人や学校側も「チャイルドプロテクション」に連絡することがあるということだ。

オーストラリアは児童保護に非常に厳しい国で、通報された場合、子供は祖父母や親戚が面倒を見るよう、指導があり、実際に「車のシートに寝かせてちょっと買い物に行った」「子供が親の監督なしに道路でキックボードをしていた」といったことで通報されるケースがあったということだ。

(東海テレビ・2023年10月13日放送)

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